現存するフリマアプリ業者でいち早く匿名発送サービスに対応したメルカリ以外にも、ヤフオク!、ラクマでも匿名発送に対応するようになり、匿名発送のみを設定して出品する方も多く見かけるようになりました。

一方で、匿名発送ならではのトラブル、以前の実名発送では起らないデメリットも発生しているように感じるので、匿名発送のリスクとデメリットを紹介します。

匿名発送サービスの主なメリット

住所等個人情報を開示しなくて済む

ネットで商品の取引はしたいが、個人情報は知られたくない方は多いと思います。

そのため、個人情報を開示せずに取引を行える匿名発送にメリットを感じる、個人出品者・フリマアプリ利用者は多いのではないでしょうか。

事業者として継続して商品を販売する場合、特定商取引法にてトラブル防止のための住所・氏名等個人情報の開示が義務づけられていますので、個人事業レベルで出品する場合、個人情報の開示が必要になります。

個人情報の開示が正確に行えない場合、通常は偽物を販売していたり、商品が問題があった場合の責任逃れを企んでいたりと、悪徳商法の手口に類似する場合が多く、そのことが発覚すればよい印象はありません。

一方で、メルカリやラクマなどフリマアプリのみでサービスを提供している運営元の場合、元々が「個人間取引」「運営側が代金支払いに関与(エスクローサービス)」という立場で設計が行われているので、匿名発送開始以前にも、出品者情報がサイト上では開示されないシステムになっています。

それが一歩進んで、双方に住所を開示せずに発送できるようになったのが匿名発送サービスで、ヤフオク!にまで導入されることになりましたが、匿名発送の都合よさに加えて個人情報を悪用される被害を予防できる点で評価が高いのではないかと思います。

均一送料で価格的な優位性がある

出品側として匿名発送自体には興味がなくとも、均一送料となるので出品者側・購入者側双方で負担が減るメリットがあります。

例えば、北海道や沖縄宛に本州から送る場合、通常のゆうパックやヤマト運輸宅急便では費用が高くなりがちなところ、メルカリ便やヤフネコ!、ゆうパックお手軽版、かんたんラクマパックを利用すれば、半額以下の安価な送料で発送できる場合もあります。

発送契約でたくさんの荷物を送らない限り、単純な価格では匿名発送サービスの方が安くなるので、匿名発送を採用している方も存在します。

2019年4月1日正午より、メルカリ便(宅急便・ゆうパック)が値上げになります。 これまでメルカリの60サイズ~の荷物発送はメルカリ便が一番お得な状況でしたが、改めて値上げ後のメ

自動の発送通知&宛名書きミスの解消

匿名発送機能を利用すると、自動的にサイト上の取引情報と連動するので、発送通知などの面倒な作業が軽減されます。

加えて、宛名書きでのミスは発生しなくなるので、未着の原因を1つ減らすことが可能です。

ゆうパケット、ネコポスでは価格的なメリットはあまりないのですが、匿名性や印刷不要で利用できるなどの利便性という部分が重視されて、利用されている方が多くおられます。

スポンサーリンク

デメリット

匿名発送の便利さは十分理解されている方も多いですが、デメリットを認識されている方は少ないように思います。

実際に遭遇したトラブルも踏まえて、デメリットを紹介していきます。

トラブル時のやり取りが大変(実例紹介)

自身が遭遇したのが、出品者側の立場での商品破損(配達困難@ゆうパックお手軽版)にともなう未着なのですが、相手側の地域までは到着したものの、何が原因で配達されていないかが不明でした。

通常であれば出品者側が配達状況を確認すべき状況でも、相手側個人情報が不明なため、相手側から直接配達担当の郵便局等に問い合わせた方が適切な状況でした。

故に、本来は出品者側で必要な確認作業を、落札者側で行う必要性が生じるのは匿名発送の1つのデメリットです。

無理矢理状況確認に介入することも可能ではありますが、匿名発送では相手側の連絡先が不明のため、相手に十分な取引経験・知識がない限り、スムーズなやり取りは見込めません。。。

相手の意向を汲み、できる限り匿名を維持しようとした結果、相手側に確認を依頼するしかなく、未着報告から3日たって担当の郵便局から電話がかかってくることに・・・

また、自身からの相手への返金もできる限り避けたかったことから、補償による支払いを受けとる権利を匿名での取引相手側に委任するため、書類記載&返送が必要となるなど、通常の運送途中で事故があった場合よりも大幅に時間がかかった印象です。

実際に下記のような書類が届いて処理を行う結果となりました。匿名発送でなければ、出品者が直接落札者へ損害部分の返金を行い、後日損害賠償額を出品者側へ支払ってもらう対応も取れたので、普段の双方の取引情報を公開する場合には、よりスムーズに解決ができたものと思われます。

対応放棄の可能性|取引トラブル防止効果は低い

問題のある商品を個人情報を開示せずに取引したいニーズに対し、匿名発送は願ってもないサービスになっています。

そのため、匿名発送を出品時の発送方法として選ぶ方の中には、問題のある商品をリスクを減らして取引したいと考えている方が紛れ込みやすい傾向にあります・・・

同様な理由で、ノークレームノーリターンを都合よく貫きたい、商品に問題があっても返品を受け付けたくないという理由でも、匿名発送が選択される場合があります。

共通するのは出品者責任の放棄で、とりわけヤフオク!の場合、商品が到着してしまえば、残りの部分は原則として当事者間で解決するようにとのスタンスのため、取引途中でも対応を放棄される可能性が出てきます。

以前であれば、でたらめな住所でも事前に確認を行ったり、被害に遭えば記載住所宛てに内容証明を送ったりと対応を行うことができたのですが、匿名発送を設定されると相手が必要な対応しない場合でも、法的な部分も含めた後日対応を要求することが難しくなります。

ゆえに、安心安全のために導入されている「匿名発送」は、宛名書きミスでの誤配達防止、住所等の個人情報の悪用防止という面では意味がありますが、「取引自体のトラブル防止」という観点からは必ずしも適切ではありません。

その結果、盗品や偽物、状態の悪いもの・不良品をだますような形で売りさばくのに利用されやすい印象があり、落札者側が返品を拒否されたり、返品を拒否で話し合いが完了しないので運営側が双方に補償を行ったといった事例を多く耳にします。

もちろんきちんと取引できる出品者が、メリット部分を優先して「匿名発送」を利用するのはよいのですが、「取引自体のトラブル防止」には効果がないかむしろマイナスなので、「匿名発送」だから安心するのはもってのほかです。

また匿名発送が主体のメルカリではあまり大きな差にはなりませんが、ヤフオク!ではおそらく年齢層の高い方には匿名以外での発送が支持されているように感じる部分があり、匿名発送以外で発送するからと多少高くても落札されているように感じる場合があります。

なので、購入されやすくするためには、負担のない範囲で匿名・匿名以外の両方の発送方法に対応するのがベストではあります。

発送手続きに時間がかかる

匿名発送機能にこだわると、時間のロスが大きくなる場合があります。

コンビニや郵便局、ヤマト運輸営業所等で都合よく発送できる印象がある反面、郵便局ではゆうパケットサイズの荷物をまとめて持ち込むため、行列ができていたり、待ち時間が発生している印象があります。

1、2点の発送であれば問題ないと思いますが、数が増えると伝票印刷だけで時間がかかりますし、その後の受付にもさらに時間がかかるので、たくさんの商品を送る場合には必ずしも適した方法ではない場合もあります。

自宅の隣が郵便局やコンビニであれば匿名発送を積極採用しても問題ないと思いますが、普段から郵便局やヤマト運輸に行かない方が、取引の発送のために出かけるのは時間の無駄になる場合もあるので、デメリットに感じる場合には、集荷発送やポスト投函できるクリックポストを採用するのも考えてみてください。

まとめ

匿名発送は、優良な出品者が利用して取引を行う場合にはメリット部分も大きいですが、匿名発送ならではのトラブル・めんどくささもあり、「取引自体のトラブル防止」という観点からは、宛名書きミスによる誤配が防げる以外にはあまり効果がなく、悪用されたり時間ロスにつながりやすいために、特に購入者側の立場からはマイナスとなる側面があります。

匿名発送はメリットのみではなく、むしろ送料と宛名書きミス以外の取引に直接関係する部分では匿名発送ならではのリスクも生じますので、積極的には開示・説明されないデメリット部分も踏まえて、匿名発送で取引を行うか、少々高くても法律に従った運営を行う事業者から購入するかの判断されてはいかがでしょうか。