個人間取引アプリ・サイトであるメルカリ、ラクマ、ヤフオク!のすべてで匿名発送が利用可能になったため、個人の方からお買い物する際は、匿名のまま取引する機会が増えました。
一方でメルカリで出品する場合等、部分的な観点でクリックポスト(匿名でない事前割引型ゆうパケット)よりも匿名のゆうパケット(ゆうゆうメルカリ便、ゆうパケットおてがる版など)を利用する出品者 / 希望する購入者が多いと感じるので、サービスの違いをメリット・デメリットを踏まえて紹介します。
クリックポストと匿名発送の基本的な違い
クリックポストも、匿名のゆうパケットも、もとになっている日本郵便のサービスはほぼ同じです。
それぞれのサービスの特徴を、表に整理します。
クリックポスト | 匿名発送 (ゆうパケット) |
|
---|---|---|
送料 | 185円★
<参考> |
175円☆@メルカリ 179円☆@ラクマ 175円☆@ヤフオク!、送料込 210円@ヤフオク!、送料別 |
規格 | ①厚さ3cm以内 ②長さ14~34cm ③幅9~25cm ④重量1kg以内 ⇒3辺合計62cm以内 |
①3辺合計60cm以内、厚さ3cm以内 ②縦・横が14cm×9cm以上のもの ③長辺34cm以内 ④重量1kg以内 |
匿名発送 | 非対応 | 自動対応 |
ポスト投函 | 対応 | 非対応 |
補償 | 無 | サイトにより異なる |
伝票作成 | 依頼者自身 | 不要(QRコードを読み取り印刷) |
支払い | クレジットカード | 後納or売り上げより減算 |
※送料請求時の手数料、☆:サイト上の手数料が発生、★:送料込みの場合に手数料が発生、無印:手数料は不要
サービス自体には大きな差がありませんが、あえて違いを挙げるとすれば、若干大きいサイズまで対応可能でポスト投函が可能なのがクリックポスト、宛名書き不要で匿名で送ることができて都度の支払いが不要なのが匿名発送(ゆうパケット)となります。
価格だけを見ればどちらを使ってもそれほど差がないので、サービスのメリットデメリットを踏まえて、使用する/希望する発送方法が決定されているのが一般的かと思われます。
各発送方法のメリット・デメリット
比較対象となる、各発送サービスのメリットデメリットを紹介します。
匿名発送(@ゆうパケット)のメリットデメリット
主なメリット
・双方に住所を知られずに取引ができること
・宛名書き不要で自動で発送通知が行われる
・送料込みでの出品を行う場合、送料が10円程度でも安価になる
⇒価格的な部分は差がないとすれば、メリットがあるのは匿名で発送でき、発送通知などの煩わしい作業が不要という部分になります。
主なデメリット
・悪質性があったり、返品対応を受ける気がない出品者の場合、匿名発送が故に対応を断られたり、対応のやりとりが長期化する傾向にある。
・郵便局やコンビニで待たされたり、発送のために持ち込みを行う時間がかかる
⇒匿名発送の反面、犠牲になることが多いのが時間面で、1点のみの発送ではあまり差はないかもしれませんが、5点、10点とまとめて手続きするヘビーユーザーでふさがってしまったり、混雑している時間帯に手続きを行う場合、意外と時間を要する場合があります。
普段から郵便局へ寄る場合にはロスが少なくなりますが、印刷~手続きの時間を考えると、匿名にする以外の利点が失われてしまう場合もあるので、時間的な面を含めてサービスを検討したいところです。
クリックポストのメリットデメリット
主なメリット
・ポスト投函可能で、最寄りのポストから待たずに発送が可能
・ヤフオク!で送料を落札者負担にして出品する場合、クリックポスト発送が最も安価に利用できる
(合計の支払い額も、クリックポスト発送が最も安価に設定できる)
⇒ポスト投函の場合には待ち時間・持ち込みの必要性がないので、手続きに要する時間は匿名発送と比較して最短で済みます。
ヤフオク!で匿名発送にこだわりがない場合、クリックポストを導入した方が後々お得になってきます。
主なデメリット
・伝票作成・発送通知の手間や、プリンターインク代がかかる
・個人情報を開示したくない場合には不向き
⇒匿名発送を気にしない場合、プリンターの有無、インク代(維持費)という部分がネックになる可能性はあります。
インク代が安いプリンターも徐々に登場しつつはありますが、そもそも発送頻度が低い場合、利用環境の面から匿名発送の方がお得になる場合が存在します。
クリックポストと匿名発送の比較結果
各発送サービスの比較結果
発送に要する直接的な費用はほぼ同じと考えると、それぞれの都合や時間面より利用するサービスを選択するのが適切です。
主要な部分をもとに整理すると、それぞれのサービスを選ぶべきケースは以下の通りです。
<匿名発送を優先すべき場合>
「匿名での取引を行いたい場合と、取引機会が年間でも10回程度でクリックポスト発送でのプリンター等の費用が掛かりすぎる場合」
⇒主に匿名で取引したいことが選択・要望される理由となります。
<クリックポスト発送を優先すべき場合>
「匿名性についてのこだわりがなく、発送にかかる時間面を優先したい場合」
⇒この部分は、出品者の立場に応じて決定するのが理想で、ポストまでが片道5分程度と近く、郵便局やコンビニまで片道10分以上かかる場合には、クリックポストを積極採用すべき状況とも言えます。
例えば、片道約10分かけて郵便局へ出向き、10分かけて荷物2個の手続きを行う場合、合計で30分近くの時間を要します。
一方で、ポストが近くて環境が整っていれば、伝票を作成してポスト投函して帰宅するまで10分以内に終わらせることも可能です。
1個当たりでは10分程度の差ですが、労働とみなして時給換算すると、少なくとも200円近い価値があるので、時間のかかる匿名発送は意外と無駄なコストがかかっている場合があります。
特商法に沿った考えからは、個人情報を公開しての取引がトラブル防止に適切であるとされているので、偽物や悪質な方法で販売しない限り、匿名にするための無駄なコストについては一考の余地があります。
逆に購入側の立場ではクリックポストの代わりに匿名発送を要望する場合、コメント対応の時間も含めて相手の時間を奪う結果になる場合があるので、対応を断られたり質問への返答がない原因ともなります。自身も自宅の隣が郵便局やコンビニであれば受けてもよいと思うのですが、持ち込みまで5分以上かかる場合、時間の無駄なので1000円余分に代金をもらっても引き受けたいとは思いません。
クリックポスト発送⇒匿名発送を要望される場合の注意点
「匿名発送する費用・匿名発送を要望する費用は意外と馬鹿にならない」ということが、出品者の選択する発送サービスにも反映されてますし、購入者への要望にも反映される場合もあることは認識しておいてもよいでしょう。
メルカリの場合、発送方法がコメントのやり取りで素早く変更可能なところはメリットの1つですが、変更を要望されて応対する場合は、「①余計なコメント対応、②持ち込み手続き」が匿名発送のために要する余計な時間になるので、出品する立場からすると無償のサービスをするように言われていると感じる場合があります。
発送方法が未定の場合は匿名発送を要望することは問題ないと思いますが、上記の例でクリックポスト発送から匿名発送ゆうゆう@メルカリ便(ゆうパケット)を要望されて、クリックポスト発送のみ対応と出品者が断る場合、匿名発送でないことを理由に購入を断念すると、出品者からは「匿名のための無償のサービス(=実質の値引きのような対応)を要望され、応じなければ取引を拒否された」と認識され、あまり印象が良くないことにはご注意ください。
まとめ
出品者・購入者側ともに、クリックポストよりも匿名発送のゆうパケットを希望するケースもあると思いますが、メリットのほとんどは匿名で発送できることです。
一方で時間的なメリットを優先する場合には、クリックポストや場合によってはレターパックを利用してのポスト投函の方がよい場合がほとんどです。
こういった部分を出品時の発送方法や、発送方法の変更交渉の際に反映させてみてください。