年末年始の転売アイテムとして、毎年11月末~翌年の1月頭にかけて、人気のゲーム機などとともに何かと話題に上るのが、福袋の転売です。
これまでの話題とともに、現行の出品ルールや、取引上の注意点・傾向について紹介します。
福袋の大量購入・転売が人気な理由
毎年良い面・悪い面も含めて福袋転売が話題になりますが、大量購入・買い占め・複数まとめ買いや転売が人気な理由は以下の通りです。
転売することで容易に利益が得られる
容易にお金儲けができることが、転売目的での大量購入・買い占めの一因となっています。
こうした転売される福袋の特徴として、数量限定で売り出されるために希少性があるのはもちろんですが、(在庫処分の商品が入るであっても)普段よりも値引き率が高かったり、販売価格に対してお得な内容となっていることが殆どです。
有名なのは2016年正月のスターバックス福袋を先頭集団が転売目的ですべて買い占めした件や、中国系のグループが買い集めるヨドバシカメラ・ビックカメラなどの家電量販店などの福袋です。
売り方は福袋そのままの場合、ばらして1個ずつ販売されるケースの両方がありますが、ヤフオクやメルカリなどの個人間売買サイトでは、福袋そのままでの出品・販売は十分な説明を行わない規約違反の状態になるとして、現在では禁止になっています。
買っても価値の下落が少ない(売却しても損がない)
もう1つの理由が、不要となり売却することになったとしても損にはならないため、自己使用分+αで多めに購入するというもの。
プレゼント用に転用できたり、後々使う可能性があるからと買うことが必ずしも悪いことではないのですが、その背景には転売できることに加え、購入しても損がないことがかかわってきています。
(もちろん購入代金分の金銭は福袋により拘束されたり、後日商品売却の手間は発生します。)
例えばですが、毎年人気の福袋のジェラートピケの福袋の場合、2017年末~2018年頭にかけて売り出された2018年の福袋・プレミアム版(税込み16200円)が、2018年12月頭でも定価以上の価格+送料で取引されている例がいくつかありました。(毎日くじなどのキャンペーンの影響も考えられます)
家電や比較的人気の劣る商品の場合、1~2月を超えると価格が下落する場合も多いのですが、商品によっては購入して1年間寝かせておいても、購入した価格と同じくらいの手取りで売却できるので、購入者にとってはハズレの商品であっても損がない福袋は、こういった面からも確保のための複数買いの対象となってしまう場合があります。
近年ですと、人気Youtuberの動画ネタにもなっている場合が多く、またメルカリなどのフリマアプリの普及や匿名発送で気軽に出品しやすくなったことも、この傾向に拍車をかけているように感じます。
福袋の出品時の各サイト・アプリのルール
福袋を購入する方が出品・転売する際に関係する、ヤフオク、メルカリ、ラクマの場合について調べた内容をまとめます。(できる限り、各サービスサイト内の表記を活用)
規約・ルール等 | その他 | |
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ヤフオク! | 「出品時に必要なこと」 ・商品説明に全ての内容物を記載する ・全ての内容物を撮影した画像を掲載する ⇒基本的には開封済・未使用の扱いに (ヤフオク!お知らせより) |
匿名発送可 |
メルカリ | 「禁止されている出品物」 福袋 (内包される商品の名称や写真がないもの) ⇒掲載画像より商品内容が特定できることが必須 (メルカリガイド・出品禁止物より) |
匿名発送可 |
ラクマ | 「出品時に必要な説明」 ・セット内容に含まれるアイテム全ての画像 ・アイテムの詳細情報の掲載 ⇒中身の分からないセット販売は禁止 (ラクマのルール・禁止商品より) |
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すでに福袋がそのまま転売されることを防ぐため、また十分な説明なく取引が行われることを防ぐため、より具体的な例とともに各サイトともルールが作成されていますが、各サービスとも原則として開封済みで中身・商品内容がわかる状態での出品が求められています。
この辺りは、個人の方の詐欺的な出品を防止するという意味でも、やむをえないルールであると考えています。
ルールを無理やり解釈して、入っている中身が同じ福袋を複数購入すれば、未開封でも出品できそうに思えてしまいますが、規制の趣旨に反してしまったり、商品の破損や欠品等の状態を未確認で出品することになるので、福袋に関するルール上は問題なくても商品説明が十分にできないという点で問題があります。
ただし、転売目的での福袋購入はこれらのルールにより制限されるわけではないので、最終的にこれらサイトへ出品する場合には、出品・利用制限とならないように注意してください。
福袋に関する今後の転売傾向
2016~2018年に起こった出来事およびその対策、各サイトのサービス内容を集約すると、今後の福袋転売に以下のような傾向があると考えることができます。
福袋の大量購入による転売は年々困難に
いくらお得といっても、販売側は転売目的ではなく、できるだけ多くの方に販売したいと考えていることが殆どだと思います。
販売側には、毎年多くの転売目的の方が並ぶためにAppleのように福袋販売を中止する場合やスタバなどのように事前予約&個数制限を行うケース、ネット販売の場合にも個数制限を付けて販売される場合がある等、ここ最近は一人で大量に買い占めるのが難しくなってきています。
逆に売れ残っている商品であれば問題ないという考え方もできそうですが、お店によっては在庫があっても販売数を制限する場合もあるので、転売への敷居が下がった反面、転売対策はより厳密になる傾向にあると考えることができます。
福袋出品は匿名発送機能でハードルが低下
2016年以降、福袋転売がさらに盛り上がっている要因の1つがメルカリ、ヤフオクが匿名発送に対応したことです。
この機能のおかげで、モラル上の問題があるともみなされる大量購入での福袋転売も、住所が割れなければ気にせずに実践しやすくなった方が増えているように感じます。
特にメルカリ、ヤフオクでは、匿名発送を利用した方が送料が安く抑えられることがほとんどですので、より一層福袋転売への敷居が下がった状況にあると感じています。
以前のスタバの福袋買い占めの件の段階では、ヤフオク!が匿名発送にも対応していなかったため、買い占めグループが特定されるまでになってしまいましたが、今現在はいたずら入札される可能性こそありますが住所を公開せずとも取引を完了できてしまうので、物理的のみならず心理的なハードルも下がっているものと思われます。
モラルのない副業レベルでの転売は毎年の恒例に
今後は、アプリ普及や匿名発送で転売への敷居が下がったものの、社会的な問題もあり以前にもまして大量購入がしにくくなっていることから、ここ最近の副業ブームに乗っかった個人出品者を中心に福袋転売は続いていきそうな印象です。
まだ12月なのですが、先ほども紹介した人気福袋の1つである、ジェラートピケのものは12月の予約販売直後より、到着もしてないのにヤフオク上で転売が開始されています。
(上手い方だと発送先変更・代引き発送を前提に、予約権利として出品されているケースがあります)
どう見ても転売目的の出品であっても、たくさん買えてしまったとか、あまりが出たなどとウソのような説明で出品されており、また到着前の出品は十分な説明ができないために規約違反になってしまうので、こういった規約を守ることよりもお金儲けを優先したいかのようなモラルのない転売も、一部では残っているようです。
なおメルカリでもそうですが、規約違反の出品を繰り返すと利用制限がかかってしまうケースがあるので、これから出品を行う方は他者が出品できているかで判断しないように気を付け、個人的には個人売買の範囲内の個数での出品、どうしても稼ぎたいのであれば福袋以外の商品転売や仕事を行うことをおすすめします。
まとめ
お得であることを理由に、転売で利益が取りやすいことだけではなく、いらなくても損がないことが多いために確保のためにも購入されることがあるのが福袋です。
ここ最近は、メルカリ・ヤフオクが匿名発送へ対応したことにより敷居が下がっていますが、大量購入が難しくなってきているので、副業目的での個人出品者が今後増えるものと思われます。
出品される場合は、出品時のルールに加え、モラル的な面も配慮されることをおすすめします。