宅急便サイズよりも大きな荷物を送るときに利用できるサービスの1つにヤマト運輸が提供している「ヤマト便」というサービスがあります。

日常的に宅急便サイズ(3辺合計:160~170㎝、重量:25~30㎏を超える荷物)を超える大型の商品を発送する機会は少ないと思いますが、引っ越しなどで不用品を処分する中に1つや2つ大型のものが紛れ込んでしまうことは有り得るケースです。

今回は宅急便と引っ越しの間のようなヤマト便を解説します。

ヤマト便のサービス内容・発送ルールと注意点

同じクロネコヤマトでも、ヤマト便は単に宅急便を延長して大きなサイズに延長したサービスです。

大型の荷物でも業者の作業員が梱包するらくらく家財宅急便や引っ越しのサービスとは異なり、依頼主が梱包を行うことがサービス利用の条件となっています。

料金:重量or容積換算重量×地域で決定

宅急便やゆうパックと大きく異なる点の1つが、体積によるサイズ区分の代わりに、「容積換算重量」を用いることです。

「容積換算重量」は荷物の3辺の長さを利用して以下の計算式で計算されます。

容積換算重量(kg)=縦(m)×横(m)×高さ(m)×280

ここで計算した「容積換算重量」を荷物の実重量と比較し、より値の大きい(重い)方を運賃計算用の重量に採用します。

例えば、3辺が1.3m、0.6m、0.2m、重量が35㎏の荷物を例に計算すると、容積換算重量が

1.3×0.6×0.2×280=43.68(kg)

と計算できるので、より大きな容積換算重量での40~60㎏区分の運賃で発送が可能です。

最終的に発送する地域に応じて料金が決定します。

40~60㎏区分の荷物を東京から発送する場合の値段は、1728円(東京都内)、2592円(大阪市)、4039円(札幌市)、7052円(沖縄)です。

サイズ・重量制限:複数個の荷物でも1つの荷物として計算可能

ヤマト便の特徴であるサイズ、重量に加え、複数個の荷物を送る場合も宅急便とは扱いが異なります。

<サイズ・重量の制約>
サイズ:長辺が180㎝以内かつ1人で持ち運びが可能であること
重量:1梱包(箱)当たりの重量が約50㎏まで

制約があるのは拠点間輸送の都合や、ドライバー1人で集荷・配達を行うといった理由からのようです。

長辺が180㎝以内というのはヤマト運輸のHPには案内が出ていないのですが、過去に問い合わせをした際、上記理由も踏まえて180㎝以上の物は集荷で積み込めないため引き受けできないと断られた経験があります。

もう一つお得な点は、複数個の荷物でも1つの荷物として合計重量or容積換算重量を計算して運賃が適用されるので、送料が大きく安くなる場合があります。

例えば3辺が0.6m、0.5m、0.4m、重さが24㎏の荷物(160サイズ)を4つ同一の宛先(東京⇒大阪市内)へ集荷発送で送る場合を考えます。

宅急便の場合、160サイズとなるり複数割引で1個につき100円減額されるため1736円(1836-100)×4=6944円が送料となります。

一方でヤマト便の場合、単純な重量で計算すると100㎏以下の送料区分になります。

容積換算重量は3辺が0.6m、1.0m、0.8mの荷物として計算すると、0.6×1.0×0.8×280=134.4kgとなります。

140㎏以下の送料区分で計算し、2873円がヤマト便での送料となります。

ヤマト便の場合、任意保険分の金額が反映されていませんが、荷物によっては送料の大幅な節約が可能です。

長辺が180㎝ギリギリであったり、極端に重い場合には事前にヤマト運輸へ問い合わせると確実です。

運送保険は任意、30万円を超える高価な商品も発送可能

宅急便の場合補償金額が一律30万円までであったのに対し、ヤマト便の場合、運送保険は任意対応となります。

運送保険が必要な場合、補償金額1万円につき10円(最低50円)にて加入できます。

100万円の商品に保険を掛ける場合、1000円が必要になります。

大きめの高性能テレビや、高級オーディオセットなども事前に梱包ができれば保険をかけて発送できるので、万が一の場合も安心です。

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ヤマト宅急便・ヤマト便の違いを整理

ヤマト便で対応していること、していないことをまとめておきます。

<宅急便同様にヤマト便でも対応していること>
・集荷発送、ヤマト営業所発送
・着払い
・営業所止め
・持ち込み割引
・各種電子マネー払い

<ヤマト便では対応していないこと>
・お届け日、時間指定
・コンビニ等での発送手続き
・メンバーズカードによる割引(支払い自体は可能)

大きな違いで影響がでる部分は、時間・日付指定ができないことくらいです。

宅急便と比較して割安な送料に設定されている場合もあるため、価格面でメンバーズカードによる割引が利かないことに対してはあまり影響がないでしょう。

持ち込むものより集荷を頼む機会が多いと思うので、コンビニで受け付けできない点もほとんど影響がないように思います。

最大のメリットは宅急便で発送できない大きく・重く・高価な商品の発送に利用できることにあるので、梱包できる場合にはヤマト便の規格に合わせると送料の節約につながります。

さらに大きい荷物の場合には、単身パックや引っ越し(チャーター便)、飛脚ラージ便、らくらく家財宅急便といったサービスの利用が必要になるので、ヤマト便で発送できない場合の発送の手段として検討してみてください。

楽器や自転車など梱包ができる宅急便規格外商品の発送に最適

ヤマト便で送るのに最適な商品として考えつくものをまとめてみます。

・大型の楽器類(管弦楽器、キーボードなど)
・テレビ、スピーカー類
・160サイズ付近の複数個の段ボール
・梱包可能な自転車
・望遠鏡
・組み立て式家具、メタルラック

知らない間に楽器の発送でヤマト便を利用していたことがあった他、テレビの発送やプロジェクター用スクリーンにヤマト便を使おうとしてたことが有りました。

意外と利用できそうなのが自転車だったりします。

小さな複数の段ボールで3辺160cmを超える場合に当てはまるのですが、元の箱がないと梱包するのが非常に大変です。

かつて楽器を送った際は大きめの段ボールを事前に調達し、ヤマト運輸営業所内の一角をお借りして段ボールを加工したり梱包用のプチプチを有料で切り売りしてもらったりと、苦戦した経験があります。

梱包資材の確保状況によっては、余分な出費や時間がかかってしまう場合もありますので、準備もしっかりとしておきましょう。

トイレットペーパーやティッシュ用の段ボールは大きく身近なもので入手しやすいので、スーパー、コンビニ、ドラッグストアでうまく調達するのも1つの方法です。

まとめ

宅急便サイズより大きく重く高価な商品を送れるのがヤマト便の特徴です。

うまく荷物をまとめることで、場合によっては宅急便で複数個発送することよりも安く発送できます。

大きな荷物ほど事前の段取りが必要であったり、発送方法に制約があったりするので、発送する予定に合わせて必要な準備をしておきましょう。

※2019年の引っ越しシーズンには、3日前までの事前予約が必須となるというお知らせがHPに掲載されていましたので、引っ越し利用の場合には発送準備と合わせて、ヤマト運輸のサービスセンターや担当者へご連絡を行うことを忘れないようにしてください。