WELQやMERYといったDeNA(ディー・エヌ・エー)系列の企業で運営するキュレーションサイトが炎上し、一時閉鎖され件について、自身が接するブログ等も含むwebサイトやネットメディア、副業で問題になっている部分との共通項を交えながらお伝えします!
WELQから火がついたDeNAキュレーションメディア
すでにTV・ネット上でも多数取り上げられていますが、簡単に振り返るために調べると2016/11/29のDeNAからのプレスリリースにたどり着きます。
この際、ヘルスケア情報を扱うWELQの記事内容に関して、「医療情報に関する記事の信憑性に問題がある」ことが記事の削除・一時閉鎖につながったとして述べられています。(DeNAホームページより)
その他のDeNAが運営するキュレーションメディアも「記事制作のプロセスに問題がある」という理由で、12/1までに記事の非公開化・一時閉鎖され、12/7には運営元が異なるとして一部の記事を公開していたMERYも12/7付で記事が非公開になりました。
結果、一連の騒動を受け、10日ほどの短期間でDeNAに関連する10のキュレーションメディアが記事の非公開化・一時閉鎖を行う事態となりました。
今回の騒動で対象となった10のサイトは以下の通り
・WELQ(ウェルク):医療・ヘルスケア情報
・iemo(イエモ):インテリア・生活情報
・Find Travel(ファインドトラベル):旅行系情報
・cuta(キュータ):妊娠・出産・子育て情報
・UpIn(アップイン):お金情報
・CAFY(カフィ):食・お料理レシピ情報
・JOOY(ジョーイ):メンズファッション・恋愛系情報
・GOIN(ゴーイン):車・ドライブ旅行情報
・PUUL(プウル):漫画・アニメ・アイドル系情報
・MERY(メリー):女の子向けファッション・恋愛系情報
WELQをはじめとしたDeNAキュレーションの問題点
自分なりに「DeNAキュレーションメディアの何が問題だったか」について調べた内容をまとめます。
信憑性の薄い記事の提供・アクセス数狙いの場合も
今回炎上・騒動に至った原因の1つに、アクセス数狙いのような形で信憑性の薄い記事を量産して提供していたことがあげられます。
特にWELQで問題となった医療関係は、一部記事で薬機法違反の疑いがあるとしても問題になっています。
間違った情報・信憑性のない情報自体はDeNAに限ったことではありません。
法律に違反している疑いや、SEO対策が素晴らしく記事には問題があっても検索でヒットさせる技術がある企業運営サイトだからこそ、連日ニュースにも取り上げられているのではないでしょうか。
一説によると8000字前後の記事が1日100記事も新規投稿されるようです。
日々これだけの記事がアップされていれば、自身はロボット並みの作業量とも思えてしまいます。
非オリジナル記事量産による検索阻害
キュレーションサイトの性質上、1つ1つの記事の文章は長文化する傾向にあります。
自身の感覚では個人や企業運営の記事でも2000字前後~多くて4000字程度の記事が一般的。
そんな中、画像もたくさんあって、8000字以上の記事を意図的に作成して、アクセスアップを狙ったという経緯があるようです。
2016年時点でのgoogleは、後者を価値のあるサイト記事とみなす傾向があるので、継ぎはぎしたまとめ記事で検索結果を独占するという現象が起こっている場合もありました。
本来オリジナル記事の作成者が評価されるべきところを、SEO対策によってアクセス数ごと奪ってしまう結果となり、非難の声が挙がっている面も。
この点はDeNAに限らず、ほかのサイトでも同様な批判があります。
そしてまとめられた情報に信憑性がないとなれば、騒動に至るのは無理もないでしょう。
組織的にパクリ記事を作成していたとみられているので、パクられた側からも今回の騒動を取り上げる側からも非難の的になってしまった感があります。
自身も記事・情報の内容で負けるのは納得ですが、インチキに負けるのは納得できない部分はあります。
不適切と思われる記事作成・運営側の指示
DeNA・WELQで外部ライターに依頼する記事では、あらかじめSEOを意識したテーマ・参考になるサイトを指示して、マニュアルに従って特に直近の記事は8000字前後になるように仕上げさせていたようです。
参考にするサイトの文章は、コピペにならないようにリライトして表現が重ならないように指示があった模様。
外部ライター自体にも専門知識が求められていなかったことからも、コピペ&リライトで検索に強い記事を量産するという目的があったのかもしれません。
通常はこういった記事の場合では「引用」形式で紹介されるべきなのですが、意図的にオリジナルの記事のように偽装したり、参照元のリンクが無かったり。
コピペだけにとどまらず、画像の直リンク(この場合、無許可で自社以外サーバーの画像を自社サイトで表示させること)、外部ライターに安価な報酬で記事を書かせたりといった問題点もあります。
これらの結果、オリジナルの記事を書いた作者が得るべき評価・利益を、DeNAが安い費用で外注した記事を利用して奪うことになっていたのが炎上の背景になっていました。
ここでは紹介しませんが、運営サイトを通じて順調に広告収入を得ていた模様です。
DeNAキュレーションメディアの問題点まとめ
これまで述べてきたことをまとめると、今回の騒動となったDeNAキュレーションメディアは以下の文で言い表せるのではないでしょうか。
「自社の利益を最優先して作成されたメディア」
そのため、信憑性のない情報、内容に問題のある情報も量産されて今回のタイミングで一時閉鎖になったものと思われます。
今回はDeNAのメディアが影響力もあり大きく取り上げられることになりましたが、収益が優先されて作られている記事やサイトは個人/企業関係なく存在します。
管理が行き届いている企業のサイトではあまり見られませんが、DeNAのメディアは素人参加型で管理がされてないサイトの典型的な悪例といえるかもしれません。
あまりニュースといった表舞台に出ませんが、今回のようにお粗末なメディアやそういった記事を量産するライター・サイトに接する機会は少なくないでしょう。
信憑性のない情報だけでなく、意図的に書き手や紹介するサービスに合わせてゆがめられている場合もあるので、入手する情報源の信頼性もネットで情報を得る際には気を付けないといけません。
他にも記事の見直しで一部の記事を非公開化するサービスがあったり、naverまとめでは、「まとめ作成者のランク制度」「オリジナル情報発信者の権利保護」を2017年中に実施するなどの発表があり、DeNAにとどまらず他の企業でも運営や記事内容を見直す動きが出てきました。
DeNAは第三者調査委員会にて運営の実態を調査するということでしたので、早急な対応と今後の動向には注目したいところです。
キュレーション以外にもある利益優先での活動
問題点として挙げた利益を最優先しての活動は、DeNAキュレーションメディアに限ったことではないと考えています。
元々のWELQ、MERY問題とはかけ離れている部分はありますが、「利益を最優先して問題となっていること」について、自身が着目している内容を紹介します。
三菱自動車の燃費不正問題
今年一番なのは、三菱自動車の燃費不正問題です。
一度不正が発覚した後も、続々と不正が発覚し、ブランドイメージを悪化させることとなりました。
副業ではありませんが、今年の中で一番気になるニュースでしたので紹介しています。
問題の収拾を目的としていれば、以前のリコール隠しも含めて頻発することはないように思いますが、残念ながら利益が優先された対応になってしまっているように感じてしまいます。
転売屋・物販問題
自身も取り扱うことも多い内容ですが、取り組む人が多いのは利益の出しやすさにあるともいます。
代表的なのは安く市販・再販されているものを繰り返し転売する行為。
PSVR等の人気商品においては買占めによる価格つり上げや、チケットの場合はネットダフ屋行為としても問題になる場合も。
ただし公平な市場競争で規制がかけられない部分はあります。
利益優先での活動にあたるのは「古物商資格」のない無資格者が「副業」として実践していることではないでしょうか。
運転免許ほど罰則はきびしくないですが「副業」として取り組むのであれば、法律への理解も深まるので取得することをお勧めします。
古物商に関しては以下の記事も参照ください。
そしてもう一つ問題で最近流行しているのが特商法違反の無在庫商法。
2016年はツールを組み合わせたメルカリ無在庫転売が流行っています。
個人情報の無断使用があったり、規約違反の利用方法で収入を得る方もいるようです。
色んな方が紹介していて、利益が出ることも間違いはないですが、同時に問題のある販売方法です。
その他
Airbnbの無許可営業や、youtubeへの違法アップロード、個人ブログでも検索を意識して作られているが中身があまりないサイトを見かけることがあります。
先ほどのコピペ・リライトとまではいかないものの、これらも利益を優先して行っている活動なのではないかと感じています。
ネット情報も利益のみを優先するのではなく、情報の対価として適切な報酬・利益を得るという方針で運営されてほしいものです。