最近の話題となっている三菱自動車の燃費不正問題について、職業的にも株取引を行う身としても気になります。
不正問題と補償内容について紹介します!
(三菱自動車HPより引用)
2016年三菱自動車の燃費データ偽装問題
株主や自動車の保有者はよくご存じと思いますが、世間一般的に知られた3つの不正の内容は以下の通りです!
1.走行抵抗値の偽装
燃費性能の基礎データ「走行抵抗値」を道路運送車両法の規定の惰行法と異なる高速惰行法方法で計測する不正です。
最終的には測定結果を惰行法に合うように換算して燃費性能の基礎データを算出していたようですが、理論上は算出される結果には大差がないとのことです。
燃費への影響は現在のところ不明とのことですが、法定の検査が行われていないのは問題ですね。
性能に影響しない軽微なものというとらえ方もあるかもしれませんが、医薬品・食品等であれば回収に直結するような話なので、対応の違いは勉強になります。
2.燃費データの改ざん
意図的に燃費性能が良くなるように改ざんしていたようです。
不正の対象は13年6月以降に販売された「eKワゴン」と「eKスペース」、日産に供給していた兄弟車種「デイズ」「デイズルークス」の約62万5000台。
改ざんによる燃費性能の水増しは5~10%程度とのことです。
ここでの不正による影響は以下のが考えられそうですね。
販売価格への影響
車の燃費は、購入するうえで重要なスペックの1つなので、当然価格にも反映されているはずです。
燃費に対する価格の影響は微々たるものかもしれないですが、実際より良いデータを提示してその分高く販売しているのであれば、いわゆる「詐欺」として扱われてもおかしくないと思います。
新車はある程度メーカーや販売店が価格を決めている側面があると思いますが、中古車に関しては需要によっても価格が左右されてきますので、買取価格下落や不良在庫化(販売までの期間が長くなったり、値下げしないと売れない)による数値化できない影響があるのではないかと思います。
ガソリン代への影響
単純に計算するとカタログスペックの差分のガソリン代をユーザーが余分に負担していることとなります。
正確な計算方法は三菱自動車から提示されていないので、どのように計算されるのかわかっていませんが、
「走行距離×カタログ上の燃費差の割合×ガソリン代(期間平均)」
といった計算がベースになるのではないかと思います。
税金への影響
対象となるのはエコカー減税の金額ですね!
もちろん新車で買う場合は、この金額も考慮して価格に納得して購入していると思いますので、差額が出た場合はだれが税金を払うかという問題になってきます。
今のところ国が三菱自動車へ負担させるという方向で調整に入っている模様です。
契約取り消し・買い取り対応?
「消費者契約法」に基づく対応が必要になるケースではないかと思います。
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 重要事項について事実と異なることを告げること。当該告げられた内容が事実であるとの誤認(消費者契約法 第4条 第1項 第1号)
4 第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。
一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容(消費者契約法 第4条 第4項 第1号)
今回の問題になってる重要事項は、まさしく「燃費」ですね!
これはデータ偽装によって事実と異なる情報が伝わっているので、該当するのではないかと思います。
ただ、新車同様の状態で契約解除できるケースはまれだと思いますし、燃費偽装があったとしても使用できていたことは間違いないので、販売価格での買取対応となるかは微妙なところですね。
最低でも燃費の差額と自動車の耐用距離を踏まえて、補償金などの支払いがあればいいのですが・・・
3.改良モデルの燃費データの捏造
こちらはeKワゴンとデイズの改良モデルに関して、経験則などをもとにデータをねつ造していたということです!
これが大幅な燃費水増しにつながっている可能性は低そうですが、どちらにせよ法定の検査が実施されていないというのは問題ですね。
勝手なイメージかもしれないですが、自動車の免許を更新しないで乗り続けているのと同じようなレベルの話な気がします。
補償内容および発覚後は?
調べた結果よると補償内容は以下の通りのようです!
1.残価設定型クレジットを利用していた場合は契約年数に1万円を乗じた金額
2.リースにて利用していた場合は契約年数に1万円を乗じた金額
3.過去(2016年4月20日以前)に使用していた場合は使用年数に1万円を乗じた金額
4.これら3つに該当しない場合は10万円を支払う
+新届出燃費値と旧届出燃費値との差異によって追加納税義務が生じた場合には三菱自動車が費用負担するとのことでした。
実際は中古車としての価値が下がる部分も含めると、釣り合わない感じもします。燃費の差額分が消費者に帰ってくる結果なのでしょうか。
また2016/8には別車種での燃費試験不正行為が発表され、損害賠償の対象が広がるなど、あまりいいイメージは持てない報道が続いております。
商品自体は良いものかもしれませんが、結果として購入者をだます形で商品が流通していることは非常に残念です。