3月中旬から4月上旬にかけて就職や進学といった需要のため、引っ越し屋さんにとっては稼ぎ時(かき入れ時)・繁忙期を迎えます。
依頼件数も多く、近場の引っ越しであれば1台のトラックで他の現場の応援も含めて3~4箇所を回ることもあります。(かつてバイトしていた大手の引っ越し会社の場合)
トラブルにも色々な事例があると思いますが、今回は荷物の破損について取り上げます。
荷物の破損は事前の確認・申告が重要
荷物といっても、洋服類や布団のような破損が起こる可能性がほとんどないものから、ガラス製品、骨董品、パソコンをはじめとした精密機械、生活家電など破損が起こりやすいものまで様々です。
引っ越しでトラックに積載して運ぶ以上、荷物の破損はゼロと言い切ることができません。
評判の悪い宅配屋さんならまだしも、業界での評判が良いヤマト運輸の宅急便でも配送中の事故が起こってしまうので、どの金額・範囲まで保険・補償が適用されるか確認する必要があります。
動植物、ピアノ、美術品、骨董品で特殊な管理が必要な場合には引き受けが断られる場合も。高価な骨董品や壊れやすい商品があることを事前に申告せずに運送してもらった場合、万が一破損が起こった場合には業者側が責任を負わないとしている場合もあるので、引っ越し会社のルールを確認しておくことが必要です。
荷造りもそうですが、段ボールを落としたといった外損が見られないような場合、お客側の責任になることもあるので、慣れていない方は梱包方法についても確認しておくと良いでしょう。
段ボール内部に隙間があり、梱包済みのお皿でも内部で揺れ動くといった状況で破損したのであれば、荷造りを行った側の責任となる場合も考えられます。
他にも、破損しやすく注意して運んでほしいものがあれば、見積もり時と当日の責任者に説明しておくと責任の所在が明確になります。(場合によっては搬出を行う作業員にも)
自身は販売用の電子機器やパソコンを入れ、買値で150万円ほど商品が入った箱でも保険が利くかどうか(保険の有効範囲か)、安価な緩衝材で保護してある状態の陶器類をみかんコンテナに入れたままで発送可能かどうかといったことを確認したことがあります。
その際は十分な梱包をすること、また破損した場合の責任の一部を免責とすること(簡易な梱包の安価な陶器・骨董品類)を条件に承諾いただけました。
最近は何度か引っ越しを経験して慣れてきたので、大型の商品であれば傷やゆがみなどないか運び出す前に責任者と確認し、責任の所在の確認をしっかり行って運んでもらうようにしています。
荷物(パソコン)を破損された側の体験
引っ越しを依頼し、実施してもらった中で、残念ながら1回だけ破損しまったことがありました。
引っ越し業者の対応はとても丁寧だったのですが、振動に弱い大型かつ重量のある商品(デスクトップパソコン)だったこともあり、引っ越しでの運搬による振動でのパーツの一部が破損が濃厚な状況でした。
引っ越しがひと段落した2,3日後に起動するも、数時間で故障なのか起動ができなく(通電するがモニター出力ができない状態に)なってしまったので、対応を協議するため担当支店へ引っ越し後1週間で連絡を入れることに。。。
見積もり時に重たいパソコンのため、荷造りを引っ越し業者に手伝ってほしいことを事前に依頼し、当日引っ越し業者とともに荷造りを行った(引っ越し業者が運搬前の状態を確認して引き受けてた)こともあり、引っ越し業者側の運搬時での破損の可能性も考えられる状況で故障状況の説明と対応に方法について確認しました。
結果、運搬時での破損で保険が適用になる可能性が高いとのことで、修理を自前で手配して、請求書とともに修理費用の請求を行うことになりました。
プロの診断の結果は、内部部品の破損が生じているとのことでした。。。
保険請求のため、根拠となる資料を作成・送付することになりました。
<作成した資料>
・修理費用、直接的な経費一覧
・破損箇所の画像をプリントした資料
・購入時期・価格の照明となる情報
(購入サイトの画像・価格情報)
・保険請求のための用紙記入
手間はかかりましたが、こちらの請求が通り、修理費用が後日支払ってもらえました。
なおパソコン破損時を連絡したときに言われたのは、年数が経過することにより価値の下落が起こるので、減価償却(価値の下落)を考慮した後の金額の範囲内での修理・部品費用の支払いになるとのことでした。
保険の適用範囲であっても、破損状況によっては修理費・部品代の全額が支払われないこともあるので注意が必要です。現在の使用状況を考慮しての費用の支払いとなることを事前に伝えられていないか、聞き逃しているケースも多く、このことを知らずに揉め事になるケースもあるようなので、心配な方は保険の内容に加え、補償される金額に関してを確認しておく必要があります。
生産完了で入手が困難な商品についても、プレミア価格の実物で賠償されるとは限らないので、納得がいかなければ自己の責任で運搬することになります。
荷物を破損させてしまった側の体験
かつて引っ越し会社でアルバイトしていたころ、荷物を搬入する際に意図せずお客様の荷物を破損させてしまったことがありました。。。
破損させてしまったものは冷蔵庫の棚板で、床に一時的においてセットする前だったものを踏みつけてしまうというパターンでした。(後々考えると、不注意で踏んでしまったことが悪いのはもちろんですが、棚板を一時的においた場所にも問題があるケースのように思います)
お客さんもいる中での作業のため、ミスした後は家の中への搬入からは外れ、トラックに近い位置での積み下ろしや資材の片づけの担当に回りました。
お客様には責任者であるトラックの運転手の社員さんが謝罪する形となり、代替部品手配を行うことでお客様にも納得いただけたようでした。
当日は時間・作業などの関係で責任者であるドライバーの方へ謝る時間もなく勤務終了となってしまい、後日ドライバーさんと出勤日が重なる機会に謝りに行ったところ、「あまり破損が続いてしまうと責任者が再研修になるから気を付けて運ぶように」ということを言われたのみで、破損した品物や作業方法に関して追及されることは有りませんでした。
3月の忙しい時期でしたが逆に色々と気を使っていただいき、代替部品の費用は保険または引っ越し会社側より支払われたようで、破損してしまったお客様に対しても含めて色々な方へ迷惑をかけてしまう結果となりました。
以上は自身の引っ越しバイト時の体験となりますが、これからの時期に荷物の破損を経験したり、破損した経験を耳にすることがあるのではないでしょうか?
春先は繁忙期で作業員が足りないということもあり、アルバイトを開始したばかりの方も多く、4名でチームを組むと社員、バイト(2年目以降)、バイト(新人)、バイト(新人)みたいなこともあったので、特に繁忙期に(お値打ちな値段で)引っ越しを依頼する場合は社員の割合が下がる可能性が大いにあります。
加えてこの時期は慢性的に人不足で作業も夜遅くまで続くこともあるので、引っ越しのプロであっても人力の作業である以上、ミスが起こりやすくなっていると考えるのが自然かもしれません。
さらに言うと、引っ越しのトラックでの輸送時や積み下ろしで衝撃がかかりやすく、思った以上に破損しやすいと考えておくくらいでちょうどのように思います。
自身のように踏みつけて割ってしまう場合にはどうしようもないですが、段ボールの中身の破損は目立った外損(外箱の落としたような凹みなど)がなければ依頼する客側の責任なってしまう場合があります。
衝撃に弱いものに関しては、通販で届いたり自身がオークションなどで発送するよりも丁寧に梱包する、壊れやすいものに限っては宅配便で送る、簡単な保護をした状態で手荷物や自家用車で運んでしまう対策も取れるので、引っ越しの余計な破損トラブルに巻き込まれないように気を使っておきましょう。
引っ越し業者に見積もりを依頼する際の注意点は以下の記事で記載している内容も参考にしてみてください。