進学・入社や転勤・転職・結婚等での引っ越しで賃貸物件を探す際、安い家賃や住環境・設備が充実していることなど、より条件の良い物件を契約したいという要求は一般的だと思います。

賃貸で借りる側、不動産オーナーとして貸す側を体験している立場から、「家賃」を抑えることを中心に賃貸物件を上手に借りる方法を紹介します!

賃貸物件を選ぶ際に重視する項目

個人的に選ぶ際に重視する項目・できれば犠牲にしたくない項目を整理してみます。

項目 項目詳細・備考
家賃・初期費用 家賃、敷金・礼金・仲介料、保険料、鍵交換費用等
エリア・路線 通勤・通学の時間、駅からの距離、始発駅、快速等停車駅
広さ 単純な部屋の広さ、収納スペース
間取り 1K、2DK、3LDKといった区分や構造
利便性 コンビニ、商業施設、郵便局、公園、病院までの距離
住環境(周辺環境) 見た目、築年数、騒音、日当たり
設備 追い炊き機能、システムキッチン、オートロック、宅配ボックス、ウォークインクローゼット等

個人的な考えが多く反映されている部分はあると思いますが、希望条件としてこういった項目が挙がってくるのではないかと思います。

家賃を気にせず物件を選べる方は一握りの方のみで、全部の条件が揃うこと稀なので、家賃以外の重視する項目には優先順位を決めておきましょう。

「家賃」を重視する方は圧倒的に多く、続いて広さ・間取り」、「エリア・路線」が希望の条件に挙がる方は多いのではないでしょうか。

他にも希望する条件はいくつも出てくると思いますが、「家賃」の都合で条件を妥協せざるを得ない場合もあるので、先に述べた優先順位が重要になってきます。

スムーズな賃貸探しの方法

先ほども紹介した通り賃貸探しの際は「家賃」に制約がある場合は多くあると思います。

直接不動産屋に出向いてもOKですが、相場とのミスマッチが起こらないように、賃貸物件情報サイトで「エリア」、「広さ・間取り」を設定して検索し、だいたいの相場を把握しておくと良いでしょう。

他にも詳細な条件があるので、こだわる方は一緒に指定しましょう。(その分価格が上がる場合もありますが、満足度は高まります。)

ネット上の賃貸情報サイトでの検索でいくつか物件があると思いますが、一番気に入った物件を取り扱う不動産仲介会社に連絡を取り、来店予約と似たような条件での物件紹介を依頼しておくか、来店した際に「家賃・エリア・広さ」等を中心に希望条件を伝えればその場で探して下さいます。

気に入った物件があれば、部屋の写真を見せてくださったり、内覧可能か確認後に案内してくださる場合もあるので、イメージが付きやすくなります。

2~3件程度で案内してもらえると、どの物件が一番合っているかが判断しやすくなります。

内覧終了後に納得した物件へ申し込みをするとスムーズで、契約する側も、担当する不動産会社・大家さんも初回で決まるのが一番メリットがある形のように思います。

納得できない場合には、どこかを妥協して再び物件を探してもらうか、希望の条件が見つかるまで何度も通い詰めることになるので、できる限り1回目ないしは2回目の来店で決めてしまい時間のロスを防ぎたいものです。

繁忙期の人気物件は、その日のうちに申し込みをしないと決まってしまうことが多いので、その日のうちに契約の申し込みをする気持ちでいくのがちょうど良いように思います。(納得できなかった場合には申し込みしなくてもOKです)

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余計こだわりは賃貸探しの長期化の原因

こだわりが多いと、家賃の制約もあって意外と希望する物件が見つからないものです。

自身の開業時、新宿区内・広めの賃貸を家賃優先で契約したときを例に紹介します。

探し始めのころは家賃と広さに加えて色々な希望条件があり、およそ決まらなさそうな状態だったので、エリアを変えるか、部屋の狭くする必要に迫られていました。

考えた挙句、優先する条件を選び、残りの条件はあきらめることに。

<最終的に絞った条件>
地域:新宿区内(住所だけ新宿であれば・・・)
広さ:40~50m2
家賃:10万円未満(共益費/管理費込)

(大手賃貸情報サイトの2017/2の相場で見ると、同じ新宿区内・広さで家賃の安いほうから数えて5%以内の条件でした。)

<あきらめた主な条件>
・最寄駅からの近さ
・全部屋フローリング
・住環境、利便性
・路線面(ターミナル駅近、乗り換えに便利な駅)
・築年数、設備面

付近の同じ広さの部屋の家賃相場が12~14万円台ほどでしたが、時期的な要因もあり9万円台で借りることができました。

エリアや利便性を犠牲にしましたが納得できていなかったところ、仲介会社の提案で和室のある部屋も含めて探してもらい、納得ができる部屋が見つかり契約に至りました。

家賃が和室がある場合と変わらないと思い全部屋フローリングにこだわっていたのですが、和室のある部屋のほうが需要が下がり、安く借りられる場合があることが盲点になっていました。

家賃や地域をはじめ譲れない項目は誰にでもあると思いますが、納得できない場合は必須ではない条件を切り離していくというのも時には重要です。

家賃・費用の値下げ交渉を受ける側

上手に借りる方法の1つとして家賃交渉を考えているかたも多いと思います。

多くの場合貸す側は安定収入を得るために物件を保有しているので、「良い入居者に長く住んでもらいたい(=家賃滞納・空室リスクを避けたい)」と考えるのが自然な流れです。

また、不動産投資用ローンを組んでいると家賃のいくらかは返済に回っているので、空室を避けるために値下げを受け入れることは0ではありません。

一方で相場の下限を割り込むような値下げ要求や、入居希望者の多い人気物件、需要が多い時期であれば、断っても他の借り手が見つかるので、交渉が受け入れられないケースも多くなると思います。

加えて資産が十分にある大家さんの場合は、無理に値下げして貸し急ぎする必要もないので断ることも考えられます。

自分なりに家賃または初期費用の値下げに応じる場合について考えてみました。

5~9月で借り手が見つかっていない場合

1~3月は賃貸物件の入居者の入れ替わりが多くなる繁忙期で、人気物件ほど早く決まってしまいます。

人気物件の場合、前居住者の契約完了が確定次第、居住したままの期間内に写真等を元に次の賃借人が決まる場合もあるなど、値下げに関しては無縁の世界です。

物件・地域にもよりますが、この時期は費用面優先でお得に契約することよりも、より多くの希望条件が揃った良い賃貸物件を素早く契約することの方が重要な場合があります。

一方で5~9月は繁忙期が過ぎ、賃貸の借り手が減少するため、貸主の中には空室リスクを回避するために、多少の割引や家賃の値下げを行ってでも借り手に入居してほしいと考える方も出てきます。

相場内での家賃の引き下げや、初期費用の減額、家賃の発生日の先延ばし、フリーレント(無料で借りること:募集時に設定がある場合が多い)、といった細かな部分であれば交渉に応じてもらえる場合があります。

貸主側として家賃をむやみやたらに下げるのには抵抗があるほうだと思いますが、家賃の発生日の先延ばしであれば、次の申し込み者で決定する期間・可能性を踏まえたうえで融通が利きやすい場合があります。

通常は月の頭や居住開始(予定)日または居住可能日からの日割り計算で家賃が発生しますが、場合によっては1週間、2週間単位で先延ばしに応じてもらえる場合があります。

自身も前項で紹介した賃貸物件ですが、契約成立日以降2週間ほど家賃の発生を先延ばししてもらえたので、その分引っ越しにかかる全体の費用を抑えることができました。

ただし値下ばかり要求してくる優良でない入居希望者として見られてしまうと、契約自体を断られる場合も出てくるので、契約を前提にダメもとで交渉してみるくらいがちょうど良いように思います。

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相場より若干高めの賃料で募集している場合

一般的には家賃相場に合わせて募集を行うと思われますが、同じような物件でも家賃の差(ブレ)は存在します。

付近の同じ広さ・グレードの部屋の家賃が片方が10万円、もう片方が割高で15万円といったように極端に違う場合はまれですが、5000円(5%前後)ほどの価格差がある場合は少なくありません。

といっても相場よりも5000円上乗せして募集しているのではなく、大家さん・不動産管理会社が借りてもらえる範囲内で上限に合わせて家賃に設定している場合が多いのではないかと思います。

需要があるところでは家賃が下がることはあまりないと思いますが、空室期間が長いなど入居希望者が他にいなければ1000円、2000円程度~の値下げや先ほどの初期費用、家賃の発生日といった部分では交渉の余地があります。

空室率・空き家も増加してきていることから、地域によっては家賃交渉がしやすいところも出てくると思います。

ただし家賃相場を無視した条件で「安く!とにかく安く!」といった交渉だと、物件の価値自体も否定してしまうことになるので、上手に借りる方法としては適切ではありません。

物件の価値を認めつつ、契約することを前提に、適正な範囲での交渉を行うと貸す側としても受け入れやすいです。

まとめ

引っ越しして賃貸を契約する経緯は色々とあると思いますが、希望する条件がすべて揃う物件が見つかることは少ないと思うので、うまく見つからない場合は条件を切り離す、あるいは最低限の条件に絞って見つかった中から妥協できる物件を選ぶのも1つの方法です。

良い条件を多くそろえると良い物件の反面家賃に反映されますし、固定費の観点から家賃ありきで考えれば低い家賃でも利便性や設備等を犠牲にすることで広めの部屋を契約することも可能です。

「家賃の値下げ交渉で安くする」といった記事も良く見かけますが、必要のない値下げ・価値を下げる値下げを行う必要のない物件・時期もあるので、おまけ程度の気持ちで控えめにといったスタンスが適しているのではないかと思います。

家賃を落とすことで、毎月の固定費の削減・節約につながりますが、必ずしも節約が最適とは限らないので、立場・収入・用途・生活にあった適切な物件を選んでください。