ヤマト運輸の労働組合が今年の春闘で宅急便の引き受けの抑制を検討していることが報道されました。

ネット通販大手のAmazonの荷物の引き受けを開始したことや、近年のネット通販需要の拡大に伴い、ヤマト運輸が引き受ける荷物は大幅に増加しています。

一方で利幅の小さい大口契約により、利益はあまり増えず仕事の量が増え、結果として現在の現場ドライバーの疲弊につながっているとも言われています。

宅急便の運賃のうち5割前後は人件費に相当

ヤマトホールディングスの決算説明資料の記載内容を元に、各事業とも同じような比率で人件費がかかると考えると、宅急便の代金として支払った費用のうち、5割前後が人件費に相当する。

委託費や車両、ガソリン代なども含めて人件費に比例して発生する費用は6割前後に達すると考えられます。

このうち、大口で顧客から荷物を引き受けることで大きなメリットがあるのは、出荷の際の人件費や車両、ガソリン代といった作業に比例して発生する費用である。その分、大口契約している依頼主に対し、大きな送料の割引につながっています。

加えて荷物を受け付ける窓口業務などに必要な経費も不要となりますが、荷物の引き受け以降にかかるコストはあまり大差がないものと思われます。

結果として引き受け時までのコストが主な要因となり、運賃の値引きが行われているのであれば全体的な値上げが行われてもおかしくないでしょう。

Amazonをはじめとした大口契約の安価な契約運賃

宅急便の荷物を抑制の申し入れを検討していることから、あまり利益が大きくとれる荷物ではないことが推測されます。

サービスの利用状況に応じて均等にコストを負担するのであれば、人件費が原価の多くを占める関係上、大口契約の荷主に対する大幅な値引きにより、収益が悪化したりドライバーへ支払う給料が少なくなっているのではないでしょうか。

大量の荷物を差し出すことにより、集荷に関連するコストを低減することで契約運賃が安価になるのはある意味当然であると思われますが、報道された情報を見ると、他の顧客と比較しサービスに支払う費用まで削ってしまう「買い叩き」となってしまっていると捉えられる面があります。

大口契約の中でも一番多くの荷物を差し出すのが、アマゾンのためこれまでも多く話題に挙がっています。

アマゾンは過去に佐川急便の契約運賃をさらに下げるように持ち掛け、取引を打ち切られた経緯があります。

amazonが運賃を買い叩き、運営にかかる経費が安くなれば当然利益は上がりますが、サービスに対して必要な対価を払わないという方針であるのはいろんな面で問題のように思います。

amazonをはじめ、大口で優遇されているためにサービスに対して必要な対価を払っていない企業に対しては、値上げまたは取引を打ち切りで対応してもやりすぎではないでしょう。

Amazonの利益は海外へ行くため国内企業で買うべき?

これは賛否両論だと思いますが、Amazonの買い物は受けていることになっているので、消費税は納めているものの、法人税に関しては日本での売り上げに対し日本法人分のわずかな金額しか払っていません。

元々Amazon自体が利益率の低い営業方式をとっているため、大きく利益が出ているわけではありませんが、その利益が現在のヤマト運輸をはじめ運送会社に負担を背負わせながら生み出したものであれば、見直されるべきでしょう。

「国内の運送会社に負担をかけ、日本での利益に応じた税金を上手に回避している」というのがアマゾンの日本での運営状況の一面を表している表現ではないかと思います。

安さ・早さにこだわるのであればAmazon利用もやむなしですが、それ以外に勝る点がなければ、国内企業が運営するネットショップや店頭で買うことの方が、国内に返ってくる金額が大きくなるので日本人からすればより良いお金の使い方と思います。

こういった面からすれば、ヤマト運輸は運賃値上げの提示をしてアマゾンの出方を伺うべきでしょう。

楽天、Yahoo!JAPANをはじめ、ヨドバシ.comなど国内企業が運営するネットショップにも便利で使いやすいところもあるので、ネットで買う場合にはamazonで買うよりもそういったところで積極的に買い物をするようにしています。

景気が上向かない中、強制するつもりはないが、Amazonで多くの買い物をする方は少しでも国内にお金が回りやすい国内企業で買うようにしてみてはいかがでしょうか。