メルカリで暗躍していた無在庫転売業者(スパム・迷惑行為・規約違反利用者)に関連し、必要となるメルカリアカウントを提供していた業者計4名が相次いで私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで逮捕されました。
これまでも何回か無在庫転売に対する対策は行われてきていますが、無在庫転売に利用される可能性が高い、自動出品ツールや使い捨て状態になっていたアカウント自体の利用に対して対策を取るなど、本格的に動いた印象があります。
ニュースになった部分、あまり報道されない裏側の部分、対策された側の動きについて紹介します。
メルカリのアカウント販売業者が逮捕
表向きは不正利用者排除や、いたずら対策、自己取引の禁止
メルカリより2017年6月16日付で「利用規約違反行為に対する取り締まり強化について」というタイトルで報道がされました。
これは利用規約に反し利用停止等になったユーザーの再利用や、いたずら等によるユーザー間トラブル、また複数アカウントを同時に利用した自己取引等の防止を目的としたもののようです。
いたずら目的で複数のアカウントを取得する利用者がいるのは理解できない部分もありますが、メルカリ側が不適切と判断した利用者(無在庫販売やマナー違反など)、ポイントの換金やカードのショッピング枠現金化のために2つ目のアカウントを欲する場合等、不適切な利用のためにメルカリのアカウント売買が行われていました。
報道に先行してメルカリアカウントの販売者を逮捕されましたが、上記のような不正利用が後を絶たなかったため、供給元を潰しにかかったのではないかと考えています。
アカウントの大部分は無在庫転売向けに供給?
アカウント販売業者の販売したアカウントが何に利用されたかは不明ですが、大部分は使い捨て感覚で利用されていた無在庫販売向けのように思います。
Youtube上では、10、20、中には100アカウント運用するという強者までいたようでした。
メルカリでの無在庫販売は規約違反のため、発覚するとアカウントが停止になり使えなるようで、買って対処していたようです。
購入したアカウントは、出品ツールとともに利用しながら、迷惑メールのスパム行為のように大量に出品し、他者の出品より目立つ(表示画面を埋め尽くす)ことで大量に稼いでいた模様です。
無在庫転売に関しては以下の記事を参照下さい。
ツール出品、出品ツール業者の取り締まり
これまでも出品ツールは存在しており、無在庫転売が本格的に流行した2016年より少し前、2015年にはすでに利用できるものが存在していたようです。
出品ツールは出品が自動化できるため、販売する商品が大量にある場合や、定期的に再出品したい場合には有効な面もありましたが、大量出品によるスパム行為(=無在庫転売)のために導入しているケースがほとんどのようでした。。。
利用規約では明確に禁止されているわけではなく、禁止とも受け取れるような規約もありましたが、出品ツールが禁止とメルカリ側からのアナウンスがあった最初の事例となります。
一時はメルカリ側の内部対策が行われたことにより、2016年12月より販売終了するツールが出てきていましたが、一部のツールは対策を行って存続していたようです。
今回の件を受け、2017年6月までに相次いで出品ツールの販売を終了するところが出てきています。
ここまでがメルカリで発表された情報+αの内容です。
ツール販売者のメルカリの対策後の動き
メルカリでは規制されたため、廃止に追い込まれるところが出てきていますが、未だに販売を継続しているところもあるなど、対応が分かれているようです。
ツール販売者の動向から、今後起こりそうなことを予想してみます。
メルポンを中心に他のアプリへ拡大?
古くからサービスを提供しており、利用者が1万人を突破したとの記載もあったメルポンや、らくめるといったツールでは、早い時期からラクマ、フリルにも対応していました。
メルカリでは表立った活動は厳しいのかもしれませんが、マイナーなアプリ向けに今後も出品ツールは継続するものと思われます。
といっても、他のフリマアプリの利用者はメルカリに遠く及ばないので、メルカリ同様に売ることができるかどうかはまた別の問題です。
今後の傾向としてはメルカリから撤退する方も多いと思われますが、一部の利用者は以下のフリマアプリに一定数流れてくるものと思われます。
(メルポンの広告画面より)
・ラクマ、フリル
・ヤフオク(フリマモード)
・オタマート
・ショッピーズ
現在はラクマ、フリルが代替候補としての主流かと思われます。
(今後同じように廃止の方向に流れるかと思います)
ヤフオクでも無在庫販売を行っている方がいますが、元々購入者のレベルが高いので、メルカリほど販売するのは難しいかと思われます。
Yahoo!ショッピング、ヤフオク、楽天ではすでに対策を発表済み
Yahoo!ショッピングやヤフオク、楽天でも無在庫販売が横行していたため、無在庫転売に関するお問い合わせが急増しているとの案内があるとともに、2017/3~4にかけて相次いで無在庫転売を明確に禁止する方針が発表されています。
こういった販売サイトの利用者がメルカリに移ったのか、メルカリの無在庫販売者がYahoo!ショッピングやヤフオク、楽天に進出したのかは不明ですが、お客さんよりもお店の利益を優先する業者が増えたことは残念に思います。
この件に関しては以下の記事にまとめています。
詐欺的な副業での勧誘は今後も継続しそう。。。
ツールでの出品が規制されてきていますが、規制される前のメルカリ以外のフリマアプリや、ヤフオクでの販売を前提に勧誘が行われそうです。
これまでもいたちごっこが続いていたので、規制をクリアすることができ次第、動きがあるものと思われます。
実態はお金稼ぎのみを考えた価値の乏しいものになるので、ショッピングサイトを利用するのであれば在庫をもって販売する、ドロップシッピング・無在庫販売をどうしてもやりたいのであれば、自社サイトを作成して自由に販売するかの2択が求められています。
無在庫販売塾は終了か有在庫転売へ切り替えに
メルカリ無在庫販売が爆発的に広がった背景には、指南する塾・コミュニティ・コンサルの存在があります。
一時期たくさんのコンサルや塾募集のサイト・youtube動画が上がっていましたが、今は下火になってしまった印象です。
メルカリでの無在庫転売のメリットをあらためて整理しておきます。
・原則資金不要で都合よく商売ができる
・メルカリを利用することで簡単・大量に販売できる
・スパム行為で他の利用者を出し抜いて販売ができる
ということで販売で利用する場合にはメリットが非常に大きかったのですが、規制がかかったことで資金なくスパム行為(ツール出品)で大量に売りさばくことが困難になりました。
ゆえに、これまで爆発的に広がっていた無在庫販売のメリット・魅力が大きくそがれる結果となり、塾・コミュニティ・コンサルは難しくなってきているものと思われます。
代替案として、有在庫(せどり、予約転売、カメラ・ブランド品転売、中国輸入)による稼ぎ方を提案する方もいるようですが、いずれも二番煎じになっているので、都合よく稼ぐことは難しくなっています。
また、何より気になってしまうのは、コンサルしている教える側の立場の方が、1か月もすれば真逆の意見を発しているor勧めた方法が実践できなくなっているケースがみられることです。
無在庫から有在庫への切り替えを推奨しだすケースも見られますが、一貫性が無いため、かえって実力の無さが露呈する形となってしまっています。
メルカリでの不正行為やコンサルは取り締まれない?
メルカリツールでの大量出品により、自分の出品した商品が売れにくくなった、商品を探す際に画面が見にくい・・・といった間接的な被害から、勝手にアマゾンから直接届くといった被害まで影響を受けたケースは様々だと思います。
メルカリ無在庫転売によって運営側にもだいぶ迷惑が掛かっているものと思われますが、現状はアカウントが停止されるだけで何もおとがめなしの状態です。
銀行口座などのように本人確認書類のアップロードを行い、1人1アカウントを徹底すればもう少し状況は改善していたと思いますが、ユーザーの利便性を損ねる結果にもなるので、難しいところです。
2017年5月末には個人情報保護法が改正されたことにより、小規模の事業者であっても法律の適用対象となりました。
物販における個人情報の利用許可範囲は、サイト側を除くと出品者、運送会社が基本と思われますので、事前に同意が無ければ関係のない第3者への情報提供が問題になってきそうです。すでに個人情報保護法改正前から勝手にAmazonに個人情報を入力されて届いたことによりトラブルになっているケースもあったので、特にお客様のもとへ勝手に直送することは今後NGとして対応が必要です。
他にもメルカリ無在庫転売のコンサルを堂々と行い、収入を得ている方がおられますが、不正行為指南により取り締まりが行われていないのが少々疑問です。
おそらく厳密に適用できる法律がないためと思われますが、詐欺行為ともとれるようなものもあるなど、野放しになっている状態です。
メルカリの今回の報道の内容は、無在庫転売業者(スパム・迷惑行為・規約違反利用者)を封じ込めるため、実践できるところから動いたと見ることができますが、本来は何度もアカウントを買ってまで不正を働く出品者をもっと明確な形で排除したかったのではないでしょうか。
まとめ
メルカリが発表した不正対策強化の内容に関連し、背景にある無在庫転売対策や無在庫転売業者の今後の流れを解説しました。
購入する側にとっては手軽にメルカリで買い物できる良い部分もあるかもしれませんが、悪くいってしまえば在庫を持たず都合の良い商売を行う不正出品者を助長してしまうことにもなるので、新品のきれいな写真のみを使うページがあればAmazonや楽天で検索して、きちんと運営されている業者・出品者から購入することをお勧めします。