格安スマホ・格安SIMが人気で、実質0円規制による影響もあり徐々に契約者が増えてきている模様です。

口コミでも安さが武器になっているようで、7,8000円の月額料金が2000円ほどになるなど、価格面が大々的にPRされています。

一方で、端末代の影響が含まれていなかったり、紹介・宣伝する方々の立場が異なるなど、それぞれの立場での紹介における補正がかかっている部分が少なからずあるため、価格以外の面にも着目して考えてみます。

キャリア3社の料金が高いのは機種代の影響

キャリアで料金が高くなっている原因の1つに、機種代による影響があります。

例えばiPhone7の32GB(au版)であれば、本体価格は79200円となっており、24か月で均等に負担したとすると、月額3300円もの費用が月額料金に含まれていることになります。
(端末に対する月々の割引額を考慮しない場合)

ここに毎月2445円×24カ月で、合計58680円の割引が受けられ、20520円が実質的な端末料金として宣伝されていますが、価格改定がある場合を除きappleがSIMフリーiPhone7を定価より値下げして販売することはありません。

そのため端末代金全額が価格転嫁されてるとは考えなくとも、月額の支払額が7,8000円ほどであれば、その内の1/3前後は端末の影響があると考えるのが自然です。

iPhone5の16GB版が当初6万円ほどで販売されていたことを考えると、為替の影響も含め端末代は値上がりしている傾向にあるため、月額料金へも反映されてきているように感じます。

さらに高額なiPhone7 plusの場合は容量が大きいものだと月々の支払い額が5000円近くになるので、契約プランが安価な場合、端末代金の割合が1/2ほどになります。

単純な月々の支払額によって格安スマホのお得さが議論されていることも多いですが、その中に端末代金が含まれているかどうかは補正して考える必要があります。

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ライトユーザーにとっては非常にお得

これまでのキャリアのスマホ用プランでは、あまりスマホを利用しないユーザーでも最新のハイスペック端末で高額な料金を支払う必要がありました。

この点は格安スマホ・格安SIMを利用することでサービスの品質は相対的に下がるものの、用途にあったものユーザーが選んで契約できるようになりました。

自宅や会社などでwifi利用を前提に運用するのであれば、高速・高品質なキャリアの回線は不要ですし、検索速度や機能などにもこだわらなければ、高すぎると多くの方が感じる端末も安価なもので十分利用できます。

この点は利用者によっても意見が分かれる部分で、比較的低速・低品質のサービスでも満足できる方は「めちゃくちゃ安くなってお得 / 通信費の節約につながる」という印象で、価格の安さ・お得さを積極的にPRする傾向があるように感じます。

一方で、用途・利用機会が異なれば印象も異なるので、口コミが参考にならないケースも多いのではないでしょうか。

特にメインの機種(SIM)を格安スマホ(SIM)に変えて月額の料金が安くなったとPRする側にとって、安くても十分に相対的に品質の下がる通信状態に満足・納得できる環境にあることは把握しておきたい。

過度に安さに期待しないためにも、あまりスマホを利用しないライトユーザーに最も適したプランと考えておくと良いかもしれません。

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通信速度の遅さと時間の無駄に注意

格安スマホ・格安SIMを利用する際の最大の欠点は、通信速度・品質にあるように感じます。

正確に比較できるデータは存在しませんが、ネット検索をする場合、格安スマホとキャリアの最新機種、格安SIMとキャリアSIMでは検索速度に差が生じる場合があります。

個人的には格安スマホ・格安SIMのほうが検索速度が遅い印象です。

移動中の電車内や待ち時間が十分にある場合など、少々時間がかかっても影響がないのであれば問題ないですが、出先で早急に乗り換え検索したい場合や、お店の住所検索をはじめスマホで調べものをする際、1、2分以上差が出ることは珍しくありません。

スマホの利用頻度が高く、その余分にかかる時間も1か月でトータルして2時間も3時間もかかるのであれば、格安スマホに変えることで多くの時間を無駄にしていると考えることもできます。

収入がない、あるいは少ない場合には気にしなくてもよい話かもしれませんが、それなりの給料・収入で働いている場合や仕事中にもスマホを利用している場合、キャリア3社に比較的高いお金を払ってでも時間を確保する方がメリットがあるように思います。

自身の意見としては、節約で料金を安くするよりも、時間を確保してその分、収入を増やす活動・価値のある事(仕事や趣味、娯楽)に利用してもらいたいと思っています。

時間は買えないので、特に若い利用者が「安い」という理由だけで格安スマホ・格安SIMを選んでいるのであれば少々残念に思います。

もちろん、どの考えが正しいか決まったことはないので、利用者各自の判断で適切なサービスを選んで契約してもらうのが一番で、できれば時間の確保を第一に考えてほしいというのが管理人の意見です。

キャリアと格安SIMの価格差は以下の記事でも解説しています。

2016年は格安SIMが飛躍的に普及してきて、ブログで紹介している方も多く見かけるようになりました。 自身もauのキャリアSIMとは別にBIC SIMと楽天モバイルSIMをサブ端
格安SIMが最近人気で、「8000円ほどする月額料金が2000円になった!」、「半額以下で年間5万円も安くなった!」といった宣伝をしているサイトも良く見かけます。 一方で控えめな

より正確に料金の差を把握する方法

格安スマホ・格安SIMとキャリア契約の料金差を正確に把握したい場合、考えるとよいのが、キャリア契約での実質的な通信+電話料金がいくらかということです。

キャリアでの契約の場合、利用年数に応じてポイントが付与されたり、割引が受けられる場合があることや、インターネット回線とセットで割引を受けられる事例があります。

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キャリア契約での端末代

キャリアでのスマートフォン端末代が高い理由に、最新機種かつ高性能であること、新品であることがあげられます。

一方で、格安SIMを契約して端末は自分自身で調達する場合など、キャリア契約でない場合には必ずしも端末は新品である必要はありません。

基本は分割で支払うことになる端末代金をそのまま代金と考えればよいですが、端末割引も考慮する場合は実際の割引額ではなく、実際の中古(新品同様)での調達価格で考えるとより正確な算出につながります。

この部分の考え方は多少の違いがあってもよいと思いますが、端末代は新品または新品同様の商品を2次流通市場から調達する場合を想定するのが妥当です。

先のiPhone7の32GBの場合、端末代は1か月2500~3300円(2017/4現在)と考えておくと妥当なラインかと思われます。

電話・データ通信に関する料金

月々の電話代金を決めるもう1つの要素が電話料金(プラン)・データ通信による費用です。

割引サービスもあるので計算がややこしくなりますが、端末代を一定額として考えると以下のように計算できます。

電話・データ通信費用=月額費用-端末代-各種割引

2017年1月にかけての、月額費用約8400円(税込み)の以下のプラン・条件で考えます。

<検討する利用条件>
キャリア:au(10年以上継続利用)
機種:iPhone6⇒iPhone7 32GB(下取り有)
通話プラン:スーパーカケホ
データプラン:データ定額5
有料オプション:無し
割引サービス:auスマートバリュー有無の2通り、毎月割適用
契約:原則2年間、機種変更時を想定
その他:事務手数料などの細かい部分は除外

なお詳細な計算結果は以下のページにて解説しておりますので、こちらでは紹介を割愛させていただきます。

スマートフォンの月額料金について、格安SIMを使って節約する方法が人気になっていますが、キャリアで新規契約・機種変更すると端末代金分の影響がある代金になってしまいます。 格安SI

1.支払い、長期利用での割引

ポイント還元の影響を考慮すると実質的な価格は以下の通りです。

スマートバリューなし:8015円
スマートバリューあり:7086円

2.端末代を除外

先ほど見積もった通り、端末代金3300円を差し引きます。

スマートバリューなし:4715円
スマートバリューあり:3786円

3.キャンペーン等での割引を考慮

自身の契約変更時は引き止めポイントが1万円分獲得できたので、月額で約400円割引になったことになります。

他にも割引を受けられるケースはありますが、25か月目の契約変更時の事務手数料や端末割引がなくなる分と相殺されてしまうので、この値段で見積もっています。

最終的な電話・データ通信費用の概算(実質価格)は以下の通りです。

スマートバリューなし:4300円
スマートバリューあり:3400円

下取りを考慮しない場合は、電話・データ通信費用を1000円増しで考えると辻褄が合います。

支払額や端末費用を表にまとめます。(長期利用特典も含めて計算)
※実際の支払額は端数を調整していますので若干異なります。

スマートバリューなし スマートバリューあり
端末代 3300円
電話・通信費用 4300円 3400円
実質費用合計 7600円 6700円
支払いとの差額 約800円
実際の支払額 8400円 7500円
その他 下取りの代わりに新端末を売却してもOK

端末代金に対して割引があるのが24か月分のため、25か月周期で乗り換えていくと上記の金額またはそれに近い料金体系で運用可能です。

同様の格安SIMのプランの場合2000円台で契約できるので電話・データ通信費用は単純に格安SIMのプランと比較した場合、1000円~2000円程度の増加で済むととらえることもできます。

端末も月額1000円前後でも十分に調達可能なので、性能にこだわらなければ大幅に費用を抑えることが可能ですし、逆に月額2000円ほどの価格差で最新機種が保有できると考えることも可能です。

現行のキャリアのプランの場合、割引の関係で端末を2年周期で乗りかえた方がお得(※)になってしまいますが、その点は今後消費の実態に合った、端末の利用期間に応じて安くなることなど、プランが改正されていくことに期待したい。

(※旧端末の下取りにより、端末実質負担金の上昇が抑えられ、新端末を2年後に下取りに出す時点の価格差を考慮すると、収支がトントンかいくらかマイナスの状態で運用可能)

今回の計算は考え方の1つだと思っていますが、詳しく比較するのであれば料金以外の部分に関しても条件を揃え、同じ土俵で計算できるように補正作業が必要になるので、表面上の支払額だけで比べる場合には注意が必要です。

追記:国民生活センターへの相談も増加気味

国民生活センターの発表によると、色々と格安スマホ・格安SIMに関連するトラブルが増えているようです。

おそらくただ単に月額費用が安くなるという考えのユーザーが多いためと思いますが、相談内容を見る限り消費者側の認識不足によるものが大半のようです。

端末への保証オプションに加入できるようになるなど、キャリアのサービスに近づくように範囲が拡大していますが、そうすると「格安」というサービスの優位性が薄れることにもなるので、位置づけが微妙なところです。

結局のところ、ただ単に安くなっているのではなく、料金に応じてサービス・端末性能もカットされている部分があることは十分に認識しておきたい点です。

相談事例としてまとめられていた項目をリストアップしておきます。(一部加筆・修正して掲載しています)

1.問い合わせ先が電話窓口しかなくつながりにくい
2.代替機の貸し出しがなく、スマホが1カ月間利用できない
3.キャリアアドレスが使えず、メールが相手に届かない
4.SIMカードがSIMロックの関係で利用できない
5.未払い端末のため利用制限がかかったり修理の受付ができない
6.利用開始期間まで想定以上に時間がかかる

いずれも自己責任になるケースがほとんどだと思うので、こういった点も含め、時間と比較しながら加入するかしないか検討したいところです。

参考:国民生活センター発表情報

まとめ

人気・契約者が上昇してきている格安スマホ・格安SIMについてこれまでの記事も振り返りながら紹介しました。

利用者の立場も様々なので、合ったものを選んで契約できるようになっていますが、それぞれ格安でも割高でもなく品質に応じた価値があると考え、利用者自身にあったものを選択しましょう。

節約で支出を抑えることに着目されがちですが、時間の概念や、支出以上の利益を得るといった考え方も、節約・サービス比較を考える上では考慮してほしい項目だと思っています。

<参考>

なおスマホ代を極端に安くしたい場合の1つ手法として、楽天モバイルの通話SIMを利用し、SPUプログラムでの楽天ポイント獲得と組み合わせる手法があります。

条件は限定されますが、うまく利用すれば他社のサービスよりも安く、場合によっては無料に近い値段で運用できる可能性があります。

詳細は以下の記事にて解説していますので、合わせて参照ください。

現在仕事の都合でスマートフォンiPhoneの3台持ちで運用を行っています。 1つはキャリア(au)で契約した端末ですが、残り2台は中古で入手し別々の格安SIMを使用して運用していま