せどり・転売時を行う際、古物営業法上の定義より、リサイクルショップや中古車屋などと同じく、古物商許可を取得する必要があります。

YouTube上でもせどり関連の動画が上がっており、「新品せどり」と呼ばれている手法、「新品」と称されている商品もありますが、厳密にいうと中古に分類される商品が新品の区分で出品可能なだけであり、古物営業法上の区分(ならびに世間一般の新品の定義)とは異なります。

せどり・転売は古物商許可がなくても物理的には実施可能という考えもありますが、今回は取得することを前提に、自身の申請~取得の実績をもとに取得方法や取得までの期間の実績を紹介します。

管轄警察署確認と担当者への事前相談

古物商許可は行政書士などの専門家に依頼せずとも、申請者自身でも申請可能です。
個人として許可を取得することを前提に紹介していきます。

古物商許可取得を考える場合、はじめに行いたいのが、申請場所と担当者へのアポ取り(および事前相談)です。

申請場所は「営業所の所在地を管轄する警察署」となり、個人で申請を行う場合、「自宅兼営業所」となることが多いため、自宅(営業所)近所にある警察署で手続きを行うことが多いかと思います。

管轄は都道府県のHPでも記載がある場合がありますが、不明な場合には、アポ取りの時点で可能性の高い警察署に電話して確認をしておきましょう。

管轄警察署の古物商許可の担当者は、ほかの業務と兼業のために不在のことも多いため、事前に申請手続きor申請に関する相談でアポ取りが必須になります。(電話受付で古物商許可申請に関する相談と伝えれば、担当係(生活安全課防犯係、生活安全係等)まで取り次いでくれます)

事前相談は必須ではありませんが、以下のような場合で判断に迷った場合には、事前相談を行うとよいでしょう。

・古物商許可が必須かどうか不明の場合
・自宅等(営業所)が賃貸の場合の必要書類について
・URLを届け出る際の必要書類(許諾書等)について

古物商許可を取得できない方(欠格要件)

(警視庁HPに記載されている項目を、一部省略、改変して記載しています。)

・成年被後見人、被保佐人、または破産者で復権を得ない者

・禁錮以上の刑や背任、遺失物・占有離脱物横領、盗品等有償譲受け等の罪で罰金刑、古物営業法違反のうち、無許可、許可の不正取得、名義貸し、営業停止命令違反で罰金刑に処せられ、刑の執行が終わってから5年を経過しない者

・住居の定まらない者

・古物営業の許可の取り消し等から5年を経過しない者

・営業について成年者と同一能力を有しない未成年者

基本的には営業能力がないとみなされる場合はもちろん、禁固刑や盗品売買・不正行為に関する犯罪を犯している場合には欠格事由とみなされるようです。

一般的には未成年者でなければ欠格事由に該当することはほぼないので、希望者のほとんどは気にしなくて問題ありません。

古物商許可申請に必要な書類について

申請に必要な書類は種類が多いため、書類を揃えるだけで時間がかかってきます。

詳細な記入方法は、警視庁HPをはじめ各道府県警HPにも書類の具体的な記入例が掲載されているものを参照してください。

<印刷&記入のみで準備可能な書類>
許可申請書
略歴書
誓約書

合わせて1時間もあれば準備可能です。警視庁をはじめとしたHP上の記入例をもとに作成すれば問題ありません。

通常は営業所あり(かつバーチャルオフィス等は不可)、行商ありで申請することが多いようです。

取り扱い古物の区分が不明の場合には、担当者に確認しておくと確実です。

<役所等で手続きが必要な書類>
住民票
身分証明書
登記されていないことの証明書
※営業所の賃貸借契約書のコピー
※URLを届け出る際の必要書類(許諾書等)

※対象者のみ

「住民票」を発行してもらう機会はゼロではない思いますが、身分証明書・登記されていないことの証明書は、普段目にする機会がなく、自身も古物商申請時に初めて目にする書類でした。

また、営業所や運営方式によっては賃貸借契約書のコピー、URLを届け出る際の必要書類(許諾書等)が必要になってきます。

これら発行の機会があまりない書類、手続きによっては必要になる賃貸借契約書、URLを届け出る際の必要書類について、自身の体験したことをもとに紹介していきます。

身分証明書(本籍地市区町村にて発行)

古物商許可申請時に必要な身分証明書は、日常生活で要求される運転免許証や国民健康保険証などではありません。(なので、うっかり免許証のコピーを準備しないように・・・)

あまりなじみはないと思いますが、「古物商許可申請時の身分証明書」は、「禁治産者(被後見人)、準禁治産者(被保佐人)、破産者でないこと」を証明してもらうもので、本籍地の市区町村にて発行してもらう必要があります。

ここで自身が一時的に困ったのが、本籍地と、現住所が異なるために、手続きのために本籍地まで出向く必要があると思ったことです。

後に書類自体は郵送でも請求できることを知ったため、手続きのための長距離移動、交通費の出費は回避できましたが、手数料に相当する為替を買うために郵便局へ出向く必要があるなど、少々面倒な印象がありました。

登記されていないことの証明書

こちらは身分証明書と異なり、東京法務局後見登録課、全国の法務局・地方法務局(本局)の戸籍課窓口で申請が可能です。(別途収入印紙300円が必要になります)

居住地、本籍地の縛りなく手続きが可能ではありますが、各都道府県に1か所(北海道のみ4か所)ある法務局・地方法務局(本局)しかないので、窓口での手続きが難しい場合には、郵送での手続きが必要になります。

自身は、九段下駅近くの東京法務局のまで手続きに行ったこともありますが、人が多く混雑していたので、事前に申請用紙を作成し、収入印紙を法務局以外で準備したうえで手続きに行くとスムーズです。

こちらも郵送で請求することが可能ですが、この場合、東京法務局のみでの取り扱いとなります。

郵送での請求の場合、身分証明書・登記されていないことの証明書ともに、書類が到着するまで1週間ほどはかかるので、申請を急ぐ場合には先に対応する必要があります。

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営業所の賃貸借契約書のコピー(使用許諾書)

賃貸住まいの方が申請する場合や、家族名義で保有している家で許可を申請する場合、古物営業の営業所として利用することに同意いただいていることが確認できる書類が必要となります。

賃貸の場合、当初の契約では「居住専用」として賃貸契約書が作成されていることが多いため、そのままでは、営業所としての申請を受け付けてもらえません。

通常は不動産管理会社や大家さんへ事情を説明し、使用許諾書を作成いただいたり、賃貸契約書を書き換えてもらう必要があります。

自身が大家さんに直接依頼して古物営業の営業所として登録した場合、お店のように不特定多数の人が出入りしないこと(住環境の悪化がないこと)、ならびに引っ越し用の段ボールの保管数が一般家庭より若干増える程度かつ宅配業者が頻繁に出入りする程度で、「居住専用」の場合と比べて用途に大きな変化はないこと+簡単な仕事内容を説明して、承諾をいただけました。

書面作成の形式は様々ですが、賃貸契約書面の内容が一部変わる(用途追加となる)ため、「覚書」を不動産管理会社に有料で作成いただき、それを正式な承諾書面として提出しました。

また家族所有の家を使わせていただく場合、所有者からの承諾書に加え、所有者確認のために固定資産税の納税通知書のコピーを要求されました。

細かい部分は異なるかもしれませんが、古物営業の営業所として利用することに承諾いただけていることを書面で確認されますので、管轄警察署の担当者とも相談のうえで、必要な書類を準備することが必要です。

ちなみに、大家さんが部屋内の消耗が激しくなる等と承諾しない場合や、居住専用でのみ貸し出される物件に住んでいる場合、古物営業の営業所としては登録できないため、厳密にはせどり・転売で稼ぐことができません。

許可取得は簡単と言っている方も多い(せどり屋さんの一部が都合の良い発言をしているだけ?)のですが、古物営業の営業所として利用する許可が得られるかが、最大のポイントとなります。

大家さんなど交渉相手によっては、古物商(古物営業)に詳しくない方もおられるので、賃貸住宅を営業所とする場合は要点をうまく伝えて交渉できるかどうかも重要になってきます。

URLを届け出る際の必要書類(許諾書等)

URLの届け出は古物商許可取得後でも問題ないので、申請時に必須ではありませんが、個人サイトやAmazon、ヤフオク!ストア出品等でURLの届け出が必須となる場合、できる限り申請時に手続きしておいた方がスムーズです。

買取や商品販売で個人サイトを利用する場合、契約しているサーバー会社の管理画面やサポート経由でWho is 情報を更新する必要があります。無料のブログサービスは原則不可なので、独自ドメインを取得することが必要です。

ただ、あまり個人サイトを利用するケースは少ないと思いますので、現実なところでいうとAmazonまたはヤフオクではないでしょうか。

AmazonはURLの割当てする書面発行こそないそうですが、カスタマーサービスとのやり取りをもとに申請を行う必要がある場合があるようですので、詳しくは管轄の担当者に確認するとよいかと思います。

またヤフオク!の場合、ストア出品時のみURLの届け出が必要になってきます。ただ、ストア契約がないとURL自体が発行されず、古物商許可申請時にストア契約が完了していない場合はURLの届け出を行うことができません。

後日ストアのサポートに依頼して、URLの割り当てを証明する書類を発行してもらい、追加で手続きを行う必要があります。

費用や許可取得までの日数

自身の場合、古物商許可取得にかかった費用と日数をまとめておきます。

<費用>
・申請時手数料:19000円
・書類発行費用:約1600円(交通費・郵送代含)
・覚書作成費用:5400円(不要な場合もあります・・・)

合計26000円

覚書費用が掛からなければ21000円前後で申請可能で、この金額がせどり・転売で稼ぐうえでの最低限の経費となります。

自分自身でも十分取得可能ですが、行政書士などの専門家に依頼する場合、申請書類を作成してくれるだけのものから、事前打ち合わせや提出を代行してくれるものまであるので、必要な場合には利用するとよいでしょう。

<取得までの日数>
取得までの目安は申請後より約1か月半、50日前後となりますが、休日の日数や連休によっても左右されます。

また受け取りのタイミングでも変わってきますので、2か月ほどかかると考えておくとよいと思います。

申請の数や業務の混雑状況、連休期間の有無によっても日数が変わってくるので、時間に余裕をもって申請を行うことをお勧めします。

まとめ

せどり・転売に必須となる古物商許可ですが、賃貸契約時には許可が必要などのハードルがある上に、2か月前後の期間と、2万円ほどの費用が必要となります。

要件を満たしている場合、決して取得が難しい資格ではないので、違法営業にならないことに加え、取引相手からの信頼度や手数料上でも優遇される機会もあるので、古物商許可を取得したうえで「せどり・転売で稼ぐこと」をお勧めします。