政府が「働き方改革」として正社員の副業を後押ししていることや、副業を容認する企業が増えてきていることもあり、今後副業に取り組む方が増加する傾向にあると思われます。

副業を始める理由の1つとして、多額の経費計上を伴った赤字申告による「所得税の還付」、「住民税の軽減」、すなはち「節税」を考えている方もおられると思います。

今回はこういった副業での確定申告と節税について取り上げます。

副業による所得の分類と損益通算

サラリーマンをはじめとしたお勤めしている方は、一般的に所属する企業から給料(給与所得)という形で収入を得ています。

一方で、副業の場合、種類・規模に応じて所得以外の収入を得ている方も多いかと思います。

サラリーマンも多く実践している主な副業と所得の種類をまとめます。

所得の種類 主な副業内容
給与所得 週末の飲食店バイト、新聞配達など Wワーク
不動産所得 不動産投資(家賃・名義書き換え料等での収入)
事業所得 アフィリエイト、物販業などのうち、 労力・営利性・収入より総合的に事業と判断された場合
雑所得 事業規模でないアフィリエイト、物販業 / FX等
譲渡所得 株取引等(売買時の差益)

この中で、所得区分の分類に困るのは「雑所得」か「事業所得」かの部分で、副業先のクラウドソーシングサイト経由で受注した原稿料や、副業Youtuberの収入にも関連してきます。

サラリーマンの副業の場合、単純に事業を開始したからすべて事業所得になるわけではなく、「営利性があるか」、「継続・反復性があるか」、「労力の程度や設備の有無」、「社会的な地位」、「生計が立てれるほどの収入があるか」、「事業として認知されているかどうか」といった項目を踏まえ、総合的に税務署側(国税局)が「事業」として判断した場合に限り「事業所得」と認められます。

(「事業所得」かどうかは管轄の税務署や税理士へ確認を行うのが確実です。)

所得区分による課税の方式を整理します。

所得の種類 課税方式 損益通算
給与所得 総合課税 不可
不動産所得 総合課税 可能(※除外項目有)
事業所得 総合課税 可能
雑所得 総合課税(FX以外)
分離課税(FX等)
不可
可能(雑所得のみ)
譲渡所得 分離課税(株等) 可能(譲渡所得のみ)

※株式等分離課税の場合、確定申告することで誰でも損失の繰越控除を行うことが可能です。

「総合課税」は各々の所得を合算して税金を計算する課税方式「損益通算」は赤字となった所得があっても、他の所得の黒字部分と赤字部分を相殺して所得を計算できる制度です。

不動産所得、事業所得について経費を計上した結果赤字となった場合は、確定申告で給与所得との「損益通算」を行うことで、課税対象となる所得金額を引き下げることが可能です。

(不動産所得は赤字の場合、土地の借入金利子に関しては経費算入ができません。)

その結果、所得税還付、住民税の軽減で節税を行うことが可能です。

サラリーマンの副業でも多額の経費を計上できる場合、不動産所得、事業所得で確定申告できるほうがメリットがある場合があります。

会社員の場合、アフィリエイト・物販など「事業所得」にも分類可能な副業では、一般的には雑所得扱いとなることが多いようです。

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事業所得での赤字申告が主目的の節税はNG

皆さんも「副業を開始したものの、レンタルサーバー代や、パソコン費用一部が経費に計上して節税できないか」と考えた経験はないでしょうか?

自身はサラリーマン時代のアフィリエイト収入が経費も含めると所得上は赤字だったので、更正の請求や事業所得の赤字申告で所得税を取り戻せるのではないかと考えていた時期がありました。

調べた結果、「雑所得」に分類される副業収入は、赤字の場合でも損益通算ができず、節税にはならないということが分かりました。

一方で、開業届を出さずとも、物理的には白色申告・事業所得の申告は可能なので、無理やり事業所得として確定申告を行うことは可能です。

サラリーマンの場合、無理やり経費計上して事業所得を赤字にして申告している方も少なからず存在しているものと思われます。

この場合も、税制上の優遇があるのは「事業所得」として認められる場合のみとなります。

事業ではないのに事業所得として赤字申告するのは脱税行為となり、後々加算税や延滞税がとともに本来支払うべき(還付を受けた)税金の納付が必要になる場合があります。

過去には「架空の副業をでっち上げた経費計上・赤字申告による脱税(所得税の還付・住民税の軽減)行為」や、「赤字営業が続き営利性がないこと」を理由として事業所得として認められなかった場合もあります。

事業所得の「事業」は元々、営利性のある業務を自己の計算とリスクを背負って反復・継続して行うことが求められているので、事業所得での赤字申告は給与所得者のように「リスクを背負わない方」を優遇する制度(節税方法)ではないことに注意してください。

会社員の場合、合法的にリスクなく節税するというのであれば「ふるさと納税」といった選択肢もありますが、高額な返礼品(および返礼品を記事のネタにすること)が納税の目的になっているなど、節税ととらえるのはモラル的な面が問題になるケースも存在します。

不動産所得は土地部分の金利に注意

不動産所得(主に家賃による収入)の場合、融資を受けてレバレッジを利かせながら運用しているケースも多く、それなりのリスクを背負うことになります。

事業規模とするには5棟10部屋以上の運用が基準となりますが、1棟1部屋からでも「不動産所得」を得ていれば損益通算が可能で税制上の優遇を受けることが可能になります。

投資用不動産の場合、各種税金、管理費・修繕費、減価償却費や借入金の金利部分などが主な経費ですが、赤字となった場合には借入金金利のうちの土地部分の金利に関しては経費算入ができないので注意が必要です。

不動産投資がうまくいっている場合は所得が黒字の場合も多く、経費となる支出項目も限られてくるので、節税対策として考えるには問題があるケースもあります。

赤字になる場合は取得直後で経費が多くかかる場合や、修繕費が想定よりも多くかかった・家賃収入が少ないといった経営がうまくいかない場合があげられますが、副業として毎月の収入を増やすために行っているのであれば、経営がうまくいかないことのほうが節税以上に問題になってきます。

所有物件やその家賃収入が少なく、計上できる経費も多い場合には節税につながることもあるので、不動産投資を始める場合には各種税金についても学んでおくと良いでしょう。

自身の所有する物件の大まかな収支(1年目・2年目)は後日紹介したいと思います。

サラリーマン時代に不動産投資を開始していますが、その時の経緯は以下の記事にまとめています。

空き家率が上昇している問題、不動産バブルに関する報道が2016年末から2017年に入ってからも相次いでおり、マイナス金利の導入も含めてカオスな様相を呈しています。 管理人自身は、
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株取引やFXによる収入(申告分離課税)

こちらに関しても、以前給与所得と損益通算ができると思っていたことがありましたが、他の所得とは切り離して課税する「分離課税」方式のため、給与所得に対する節税はできません。

ただし、株取引/FX等それぞれの範囲内であれば個々の取引の結果等を合算(損益通算)して課税対象額が決まります。

また生じた損出を確定申告することで次年度以降への赤字の繰り越し(損失の繰越控除)を行うことができ、向こう3年間に生じた黒字と相殺することでの節税は可能です。

株の場合はあまり経費計上できる支出がありませんが、FX等は雑所得のためセミナー代や書籍代など経費が認められやすくなる傾向にあります。

事業所得・不動産所得ほどではありませんが、こういった部分で立場・職業に関係のない部分での節税は可能になってきます。

副業の赤字申告による節税ではありませんが、赤字が生じた場合の優遇が受けられることは覚えておいて損はないでしょう。

まとめ

サラリーマンが取り組む主な副業に対する税金と節税について紹介しました。

家賃・FX等・株以外の副業収入は原則雑所得扱いとなり、給与所得に対する税制上の優遇が受けられない場合が一般的です。

ある程度のリスクをとって収入を得る場合には税金が優遇されるので、副業を行うのであれば可能な限り不動産所得、事業所得として申告を行いたいところです。

認められるかは個人の意志には関係ないので、副業で得た所得を事業所得で申告する場合には事前に確認を行っておきましょう。

サラリーマンの副業の場合、税金を味方につけれれば稼いだ金額以上のメリットを受けられる場合もあるので、規模が本格的になってきた場合には節税・確定申告に関しても視野に入れながら活動してみてください。