コインチェック社のNEM流失に伴い、他の仮想通貨とともに出金停止となっていた日本円について、2018/2/13より出金を再開しました。

NEM以外の仮想通貨の引き渡し(払い出し)や、NEM流失に対する補償としてコインチェック社が決定した日本円の支払いは未定のままですが、現段階で利用者(被害者)がすべきことをまとめてみました。

コインチェックからの日本円出金手続き

分別管理がされているとのことなので、あまり急ぐ必要はないかもしれませんが・・・日本円が残っている状態の場合、一旦出金手続きを行うのが現時点での最善の対応です。

主な理由として、以下の項目が考えられます。

・手持ちの現金、納税資金確保
・NEMの補償が開始されていない
・他仮想通貨の取引再開(出金可能)時期が不明

懐事情はさておき、気にしなければいけないのは、今後の補償・返金・損害賠償(および裁判)に対応できるか、ならびに事業が継続できるか(仮想通貨交換業者の承認が出るかどうか)は未確定という部分です。

単純に今後どうなるかが不明なので、少なくともNEM補償や他の仮想通貨を含めた方針や対応時期が決定するまでは、リスクヘッジのために出金しておくべきというのが、最善の対応とした理由です。

2/13時点での出金申請額は300億円ほどと報道されていますが、出金が殺到している理由には、リスクヘッジとして行っている方が多いのではないでしょうか。

確定申告・納税準備と税務署への相談

様々なところでPRがされているので、知っている場合が多いと思いますが、仮想通貨取引で得た利益は雑所得として課税対象となります。

また、仮想通貨で他の仮想通貨を購入した場合にも、課税の対象となるので、日本円として換金・出金していないから、課税の対象外と考えていた場合には要注意です。

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NEM流失騒動は2018年に入ってからなので、NEMによる直接の影響があるとすれば、2019年に入ってからの確定申告分~となりますが、納税用の資金も含めて2018年も取引していて、コインチェック社の騒動に巻き込まれた場合、納税が困難になる利用者も出てくるのではないかと思います。

コインチェック社のNEM流失に関連する場合、やむを得ない事情があるため、国税(所得税)・地方税の猶予制度の対象になる可能性があります。

国税庁HP内のリーフレット

最終的には税務署の判断を仰ぐことになると思いますので、納税できないことが分かった段階で、早めに管轄の税務署まで相談に行くことをお勧めします。

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損害額の算出・推定方法の検討

今回の騒動において、利用者側が主張できる主な損害は以下の3つが考えられます。

①NEM流失による直接の損害

②取引停止中の仮想通貨相場下落による差額分の損害

③日本円等の出金遅延による損害

このうち①に関しては、コインチェック社によると金銭での支払いでの対応になるかと思われますので、今後の経過次第では形式的にでも解決される可能性があります。

ただし、流失時の時価総額よりも20%低い金額での日本円による返金となるので、②でのNEMの価格下落分に対応する金銭は、別途損害として訴訟なり、個別の請求が各々行われるものと思われます。

利用規約から損害賠償が無理と考えている方もいるようですが、今回の場合にはコインチェック社側のセキュリティー対策に起因して発生しているので、コインチェック社側の運営体制に重大な不備・過失があると認められるのであれば、損害賠償を求める権利は十分にあります。

現在は流失時よりも仮想通貨全般の価格が下落しているため、少なくとも取引停止時~取引再開時までの差額が②に関連する損害賠償として請求できるのではないかと考えられます。

日本円の出金再開だけをみれば、2~3週間ほどの出金遅延のため、遅延損害金が年5%として考えてもコインチェックに預けていた金額の1%未満の微々たる金額で、手間・費用などを考慮するとあきらめた方が無難な場合がほとんどです。

ただし、保有金額が大きい場合や、今後仮想通貨に関連する払い出しまでの期間が長期化した場合、仮想通貨の価格差とともに、③の損害も請求対象と考えられます。

現時点ではすぐに損害額を算出し、訴訟しなくてもよいと思いますが、既に開始された訴訟や、今後のコインチェック社の動向次第で対応を検討するとよいでしょう。

損害があっても、損害額を取り戻す金銭的メリットがあるかは別問題のため、大まかな被害額と考える金額は現時点でざっくりでも把握しておくとよいでしょう。

被害者団体による集団訴訟への参加検討

すでにNEMの返還を求める集団訴訟に向けた準備が開始されているほか、個人単位でも訴訟を手続きされた方がおられるようです。

ほとんどの仮想通貨は保有額上位1%で独占している傾向にあるようですので、仮にコインチェックでのNEM保有者の1%の方が訴訟に参加するとしても2600人ほどになります。

個別に訴訟しても費用がかさむ傾向にあることから、すでに募集がされているor今後立ち上げ予定の被害者弁護団に依頼するというのも1つの選択肢かと思います。

ただし必ずしも弁護士・弁護団より訴訟すればよいというものではなく、今後の動向次第では依頼する意味がなくなってしまう可能性があるので、状況次第では集団訴訟に参加、ないしは個別に弁護士に依頼しての訴訟を検討するとよいでしょう。

コインチェック社に対する素早い情報収集

最後になりましたが、心がけて欲しいのが、できる限り自分自身で情報収集を進めていくということです。

投資判断と同じく、コインチェックを今後利用するかしないか、また損害賠償をするかしないかも利用者自身の責任で判断することになるので、コインチェック社や行政による公式の情報や、TV、新聞、ネットニュースなどを中心に、日々の動向を入手する必要があります。

仮想通貨の価格変動と同じく、いつどのように動くかが現時点では不明なため、その日その日でできることをやり逃さないためにも、必要な情報収集は他人任せにせず欠かさず行うことをお勧めします。

まとめ

<現時点でできること>

日本円の速やかな出金手続き

<今後に向けて行うべきこと>

・確定申告準備&納税相談
・損害額の算出、把握など
・訴訟の検討及び速やかな情報収集

簡単にまとめると、コインチェック社について利用者自身が行うべきことは以上になるかと思います。

ひとまず日本円の出金が再開されましたが、いまだ不明・未定な点があるため、今後の動向に関しては引き続き注目です。